システム開発の見積もり|知って役立つ内訳・妥当性・注意点など

システム開発の見積もり 知って役立つ内訳・妥当性・注意点など

システム開発を外注することになったけれど、「見積もりの仕方が分からない」「見積書の見方がわからない」とお悩みではありませんか? 

システム開発の最初のステップである見積もりを見誤ると、後から想定を大幅に超えた費用が発生することにもなり兼ねません。

そこで今回は、スタートアップから大手上場企業まであらゆる企業のシステム開発を手掛ける当社が、システム開発の見積もりに焦点を当て、下記の項目について解説します。

これから見積もりを取ろうとされている方、見積書を取り寄せた方、ぜひ、参考になさってください。

システム開発の見積もりの記事を読んでわかることについてまとめたスライド
「システムを短納期かつ低予算で作成したい」
ローコード開発に興味がある
目次

システム開発の見積もりの取り方:相見積もりを取る

まず、システム開発を外注する際の最初のステップが、見積もりを取るというアクションになります。

このときに最も重要なことは、1社だけではなく複数の会社から相見積もりを取ることです。

相見積もりを取ることのメリットは、複数社からの見積書を比較検討できる点になりますので、全社に同じ要望を出す必要があります。

システムに求める内容を要望書や資料にまとめ、修正があった際には全社に差し替えの連絡をし、同じ要望書に対する見積もりを取得できるようにしておきましょう。

システム開発の見積もりを取るときの注意点

次に、見積もりを取る際の注意点について解説します。

予算・納期・規模感を伝える

相見積もりを取る際には、予算・納期・規模感は必須項目です。

予算や規模感を伝えることで複数社からの見積もりが出揃った際に比較検討しやすくなりますし、開発会社側としても見積もりを算出しやすくなります。

また、納期によって必要となるエンジニアの数や開発の方法が変わることがありますので、必ず伝えるようにしましょう。

解決したい課題や実装したい機能を明確にする

導入するシステムのイメージが具体的にできていない場合には、開発が進んだ段階で、実は必要な機能が抜けていることが発覚するなど、予想外のトラブルが発生することが考えられます。

そうなると、仕様変更や機能追加によって費用が膨らみ、最初の見積もりで想定していた予算を大幅に超える事態にもなり兼ねません。

相見積もりの要望書には、自社が抱えている問題や解決したい課題、実装したい機能などについても、できるだけ具体的に記載しましょう。

なお、見積もりを取る際の注意点については、システム開発のフローについてまとめた下記の記事からも、参考としてお読みいただけます。

システム開発の見積もり算出方法

システム開発の見積もり算出方法のイメージ画像

見積もり依頼を出した後には、取り寄せた見積書の内容を確認することになります。

ここではシステム開発でよく使われる3つの見積もり方法について解説していきます。

見積もりはシステム開発の基本となる重要なことですので、基本的なことからしっかりと理解しておきましょう。

よく使われる3つの見積もり方法
  • トップダウン
  • 係数モデル
  • ボトムアップ

それぞれメリット・デメリットがありますので、ぜひ参考にして、システム開発にお役立てください。

方法1)トップダウン(類推見積もり)

トップダウンとは、過去に開発したことがある似たシステムの工数やコストの数値に照らし合わせて見積もりを出す方法です。

実際に使われた数値を利用するため、工数やコストに大きな誤差が出にくく正確な見積もりができます。

この方法は見積もりを出すまでの期間が短く済むことが大きな利点とされていますが、斬新なシステムを開発する場合には、似たシステムの記録がないため計算ができないこともあります。

方法2)係数モデル(パラメトリック見積もり)

係数モデルとは、特定の数式(係数)モデルを利用し、システム開発をするための各作業をポイントに換算することで見積もりを出す方法です。

例えば、機能1〜3をシステムに搭載するために、以下のポイントが発生すると仮定します。

ポイント計算例

合計:60ポイント

内訳:

  • 機能1:10ポイント
  • 機能2:20ポイント
  • 機能3:30ポイント

計算式:(1ポイント分の開発が5万円の場合)
「5万円 X 60ポイント = 300万円(見積もり金額)」

この方法は、蓄積されたシステム開発の記録と照らし合わせるため機械的な算出が可能で、経験や知識に関係なく見積もりができるため担当者の知見に依存しない点において信頼できる方法と言えるでしょう。

ただし、過去のデータやサンプル数が足りない場合には見積もりの精度が低くなるというデメリットもあります。

方法3)ボトムアップ(工数積上げ)

ボトムアップとは、依頼されたシステムの完成形を想定し、そこから工数を積み上げることで見積もりを出す方法です。

実際の工数から見積もりを導き出すので、作業工程の抜け漏れによる見積もり漏れのリスクを減らすことができます。

他の見積もり方法よりも精度が高いことがメリットであり、トップダウンや係数モデルとは違い、過去のデータに頼らないため、斬新なシステム開発にも対応できます。

ただし、見積もりの試算に時間がかかること、規模が大きく完成までの工数がハッキリと分からないプロジェクトには不向きである点がデメリットといえます。

システム開発の見積書の内訳項目

システム開発にはいくつもの工程があるため、見積書はその工程ごとに内訳項目が書かれています。

ここでは、見積書に記載されることの多い項目とその内容をご紹介します。

今回ご紹介する項目が全ての見積書に記載されているわけではありませんし、項目名が異なったり、下記以外の項目が書かれていることもありますが、抜け漏れがないかなど、実際の見積書を確認する際の参考にしてください。

項目1)要件定義費用

発注者の要望を明確にし、文書化するための費用が要件定義費用です。

開発会社は発注者からヒアリングし、どのようなシステムを必要としているかを文字にして共通の認識とします。

ここで考えの食い違いを残したままだと、後々トラブルになる恐れもあるため、重要な部分です。

項目2)設計費用

設計費用には、各種設計に関わる費用が含まれます。

インフラ設計・アプリ設計・データモデル設計などがあります。

さらに設計は「基本設計」と「詳細設計」に分けられます。

基本設計では、委託側である発注者にも理解できる設計書を作成し、詳細設計ではプログラマーが実際に開発するための設計書を作成します。

項目3)開発費用

開発費用は、システムエンジニアやプログラマーに支払う人件費と技術費です。

システム開発で使われる費用の大部分が人件費と言っても過言ではありません。

中でも開発費用がシステム開発の半分以上を占める場合も多くあります。

項目4)進行管理費用

進行管理費用は、システム開発のスケジュールを調整したり、管理するための費用です。

プロジェクト管理費・ディレクション費と呼ばれることもあります。

項目5)テスト費用

テスト費用は、システム開発で行なわれる様々なテストを実施するためにかかる費用です。

システム開発の最終段階でのテストはもちろん、工程ごとに多種多様なテストがあります。

項目6)導入費用

導入費用とは、開発したシステムを導入するために行う、初期設定などに必要となる費用です。

項目7)導入支援費用

導入支援費用は、システムを導入するための準備に必要な費用です。

新しいシステムを導入して稼働するためには、初期設定だけでなく使用者に向けた準備も必要になります。

操作方法をまとめたマニュアルを準備したり、説明会や講習のためにかかる費用です。

項目8)購入費用

購入費用とは、システム開発・運用に必要となるサーバやソフトウェアなどの購入にかかる費用です。

項目9)保守費用

保守費用とは、不具合の修正やメンテナンスなどシステムの管理に必要となる費用です。

システムは、完成したらそれで終わりではありません。

運用していれば発生する不具合の解消や、システムが正常稼働するためのメンテナンスなどが必要になります。

項目10)ユーザーインターフェースデザイン費用

ユーザーインターフェース(UI)デザインのための費用です。

UIとは、ユーザー(利用者)側から見えるシステム画面などのことで、ユーザーの使い勝手を考えたデザインにするための費用です。

発注者がUIデザインを希望した場合に発生します。

見積書を確認する際のポイント

見積もりの算出方法と見積書に記載されることの多い項目について理解したところで、実際に見積書を確認する際のポイントについても解説します。

見積書を確認する際のポイントについてまとめたスライド

必要な項目が入っているか確認する

まずは、前項の「見積書の内訳項目」の内容を参考に、必要な項目が抜けていないかを確認しましょう。

また、必要なソフトウェア・ハードウェア・ライセンスなどがある場合には、その点も見積もりに組み込まれているか確認しましょう。

抜けている場合には当然のことながら、後から追加費用が掛かることになりますので注意が必要です。

提案内容が要望に合っているか確認する

次に、自社の要望を正しく理解し、その要望に沿った内容になっているか、自社の抱えている課題を解決したり、目標を達成できそうな提案になっているかについて確認しましょう。

要望が正しく伝わっていない場合には、開発の途中で仕様変更になったりと、納期や費用が変わってしまうことにもなり兼ねません。

また、見積もりの段階から要望を理解していない場合には、開発段階に入った際にも認識の違いが発生したり、納品されたシステムが的外れなものであったりする危険性が高まりますので注意しましょう。

業務範囲や責任の所在を確認する

次に、システム開発会社の対応範囲はどこまでなのか、導入までのサポートを一貫して行ってくれるのか、導入後の保守・運用はしてくれるのか、業務範囲を確認します。

また、トラブルが発生した際の責任の所在や完成したシステムの検収方法については一番揉めやすい点になりますので、事前にしっかりと確認し、後々のトラブルを防ぎましょう。

各社の見積もりを比較する

前述の通り、1社ずつ見積もりの前提を確認し終わったら、最後に各社の見積もりを比較します。

そうすることで、自社の希望しているシステム開発をする際に必要となる機能や規模感、工程などの全体像が掴めると思います。

また、複数社で比較することにより、発注後に本来必要な見積もり金額が計算されていなかった、というような抜け漏れが防げます。

なお、見積もり金額を比較することは適正価格を引き出すコツにもなりますので、次で説明します。

見積もりで適正価格を引き出すコツ

システム開発の費用を少しでも削減したいとお考えになる方は多いと思います。

ただ、システム開発費用の大多数はエンジニアなどの開発人材にかかる人件費です。

そのため、むやみに価格交渉すると、本来必要なスキルをもった人材が配置されなかったり、無理なスケジュールで試算されたりすることにより、低品質のシステムを納品される恐れがあります。

そのためシステム開発では、むやみに値引き交渉するのではなく、見積もり価格の妥当性を判断し、適正な価格を引き出すことが必要になります。

ここからは、適正価格を引き出すためのコツをご紹介します。

適正価格を引き出すコツ
  • 要望を具体的に伝える
  • 同業界・同規模の開発事例がある開発会社へ相見積もりを出す
  • 複数社から相見積もりを取って内訳項目を比較する

要望を具体的に伝える

繰り返しになりますが、見積もりを取る際には、自社の抱えている課題、解決すべき問題点、システムに対する要望などを明確にし、具体的にまとめてから依頼しましょう

このことにより、開発会社からの適切な提案と適正価格を引き出しやすくなります

同業界・同規模の開発事例がある開発会社へ相見積もりを出す

見積もりを取るシステム開発会社を選ぶ際には、同業界・同規模の開発事例がある開発会社を選びましょう。

自社の目的に近い開発事例を持っている開発会社であれば、その経験を参考に開発を進められるためスムーズに開発が進み、結果として開発工数の削減=開発費用の削減につながります。

また、過去の経験を活かした提案を受けられるため、納品されるシステムが満足度の高いものに仕上がる可能性も上がります。

複数社から相見積もりを取って内訳項目を比較する

1社からではなく複数社から相見積もりを取ることによって、適正価格や妥当性を見極めましょう。

複数社からの見積書が出揃ったら、各内訳項目の内容をしっかりと比較しましょう。

同じ要望の見積もり依頼に対して出された見積書であれば、提示された金額や内容に差がない場合にはそれが適正価格であると判断でき、見積書の妥当性を見極められます。

一方で、金額や提案内容に差がある場合には各項目を比較して、何が違うのかを確認しましょう。

このように、複数社からの見積もり提案を比較することによって、自社に必要な機能やグレードなどを見極めやすくなり、高機能過ぎて使わない機能に高いお金をかけるような失敗も避けられます

同様に、ハードウェア、ソフトウェアについても、自社にとって適切なものを選ぶことができるでしょう。

なお、開発方法や手法の違いによってシステム開発にかかる費用を削減できる場合もありますので、詳細は下記の記事からご確認ください。

まとめ|複数の見積もりを比較して適正価格を知ろう

今回は、システム開発の最初のステップである見積もりに焦点を当て、見積もりの取り方から見積書の見方までを解説しました。

見積もりは1社だけではなく3~4社から取り寄せ、提案内容や各項目の見積もり金額などを比較して、適性価格と判断できる会社を選びましょう。

システム開発の外注先選びでサポートが必要な場合には、弊社までお気軽にご相談ください。

当社がこれまで支援してきた開発事例の共有、企画・コンサルティング、要件定義や実際の開発支援まで包括的にサポートさせていただくことが可能です。

システム開発を失敗しないために、弊社が相見積もりの取得までをサポートさせていただくことも可能です。むやみな営業電話などは決して行いませんので、まずは無料のご相談をお待ちしております。

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この記事を書いた人

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