システム開発のフロー(工程)を発注者目線でわかりやすく解説!
新規事業の開始や事業拡大などに伴い、システム導入を検討するということは、企業が成長していく過程において遭遇することのある局面です。
一口に「システム開発」と言っても、具体的にはどのようなフロー(工程)で開発が行われるのでしょうか。
- 今後システム開発を行う上で、まずは全体像を把握しておきたい
- 開発のどの過程でどのような作業が必要になるのか知っておきたい
- 既に取り寄せた見積提案を一般的な開発フローと比較したい
そのようなご要望にお応えするため、この記事では、システム開発のフロー(工程)について、発注者の目線からわかりやすく解説します。
システム開発のフロー(工程)一覧
一般的なシステム開発のフロー(工程)は下記の通りです。
- フェーズ1. 開発前
-
ステップ1. 見積もり依頼
ステップ2.見積提案書の確認と契約の締結
- フェーズ2. 開発中
-
ステップ3. 要件定義
ステップ4. システム設計
ステップ5. システム開発(プログラミング)
ステップ6. テストの実施
- フェーズ3. 開発後
-
ステップ7. システムの本稼働(カットオーバー)
ステップ8. 運用・保守
なお、システム開発には「ウォーターフォール型」「プロトタイプ型」「アジャイル型」「スパイラル型」と呼ばれる手法があり、それぞれの手法によってフロー(工程)が異なります。
この記事では、従来より一般的に行われている開発手法である「ウォーターフォール型」に沿って、システム開発のフロー(工程)について解説しています。
システム開発のフロー(工程)フェーズ1:開発前
まずは開発の前段階のフロー(工程)について見ていきましょう。
ステップ1. 見積もり依頼
システム開発を外注する際にまず最初に実施することは、要望を伝えて見積もりを依頼し「見積提案書」を受け取るというステップになります。
この際に忘れてはいけないことは、相手はシステムのプロであって自社の業務を理解しているわけではないという点です。
例えば同じ会計システムを導入するにしても、会社の規模や方針などによって業務フローは様々であるため、下記のような差があることが考えられます。
- A社(全部門でシステムを使用)
各部門:会計システムへ入力
経理部:確認=>経理処理の確定 - B社(経理部のみでシステムを使用)
各部門:申請書をあげる
経理部:入力=>確認=>経理処理の確定
当然のことながら、この2つの会社では希望するシステムの流れや規模が異なります。
この違いを認識せず、A社が単に「会計システムを作って欲しい」と要望を挙げたとします。
そしてこの際、開発会社が以前A社と同じ業種のB社に会計システムを納品したことがあり、そのシステムを参考に価格と納期を見積もったとします。
この場合には契約を交わして開発段階に入ってからお互いの理解に齟齬があることが発覚し、見積もりと納期が大幅に増えてしまうことになるでしょう。
このような事態を招かないためにも、見積もり依頼の際には、システム開発の部門だけでなくシステムのユーザーである業務部門も巻き込んで、下記をできるだけ具体的に伝えましょう。
- 希望納期
- 予算
- 何に使用するシステムか
- 何を達成するためのシステムか、導入の目的
- システムを使うことになるユーザーがどの部門で、何人いる想定か(自社のみならず、他社や顧客が使う場合にはその旨も伝える)
- 現状、もしくは想定の業務フローのうち、どこからどこまでの流れをシステム化したいか
この際に用意する資料については、プレゼンテーションのように簡単に取りまとめたものでも良いですし、必要に応じてRFP(Request For Proposal)と呼ばれる、発注者側から開発会社への要望をまとめた「提案依頼書」を作成して提出しても良いでしょう。
また、見積もりを取る際は、複数の開発会社から提案を取り寄せ、比較検討することも重要です。
ステップ2. 見積提案書の確認と契約の締結
複数の開発会社から見積提案書を取り寄せたら、内容を確認します。
この際、つい金額に注視しがちですが、細かな要件を打ち合わせていないこの段階での見積もり金額は概算です。
よって、確認したいポイントは下記になります。
- 概算金額やスケジュールが自社にとって妥当な範囲か
- 自社の伝えた内容と開発会社側の理解に齟齬がないか
- システムの導入目的を達成できそうな提案になっているか
開発段階に入れば、要望を正しくシステムに反映してもらう必要がありますので、円滑なコミュニケーションが取れる相手であるということは重要なポイントです。
また、システム開発によって解決したい問題や、実現したいビジネス要件を満たす提案かどうかという点については、当然そういう提案になっているだろうと思い込まずに確認することが、後々のトラブル防止の観点からも重要です。
なお、契約書については、この段階で締結する場合と、複数回に分けて段階的に締結するケースがあり、詳細はこの記事では割愛しますが、いずれにしても契約内容をきちんと理解してからサインするようにしましょう。
システム開発のフロー(工程)フェーズ2:開発中
発注先を確定して契約を結んだら、いよいよシステム開発のフェーズに入ります。
ステップ3. 要件定義
要件定義のステップでは、システム導入の目的を踏まえ、どのようなシステムにしたいかについて定義していきます。
具体的には、発注者と開発会社が打ち合わせを重ねながら下記のような内容を決めていくことになります。
- どのような画面や帳票を盛り込むか
- システムにどのような性能を持たせるか
- どのようなセキュリティーを構築するか
- 開発にかかる工数やスケジュール
ここで固めた要件定義を基にしてシステムが設計されることになりますので、非常に重要なステップになります。
ステップ4. システム設計
要件定義が終わると、次はシステムの設計に入ります。
このプロセスには2段階あり、基本設計(Basic Design)と詳細設計(Detail Design)に分かれます。
基本設計では、画面や帳票といったユーザーが使う機能のレイアウトや動き、システムで扱うデータなどを設計します。
発注者は開発会社から出される「基本設計書」をしっかりと確認し、修正点があれば指摘する必要があります。
ここまで来ると、次はシステムをプログラミングするための詳細設計に移り、開発会社側での作業になります。
ステップ5. システム開発(プログラミング)
設計が終わると、システムを構築するためにプログラマーがプログラミングを開始します。
このステップも開発会社側での作業になります。
ステップ6. テストの実施
プログラミングが完了すると、バグやエラーがないか3段階のテストが実施されます。
開発会社内で行われるテスト
- 単体テスト
システムを機能などの単体毎に検証 - 統合テスト
複数の機能を結合させて検証 - 総合テスト
システム全体の動作を検証
これらのテストが完了すると、ここで再び発注者側での作業が発生します。
実際の業務に即したテストシナリオに沿って動作を確認し、システムの運用に問題がないか検証します。
- システムが正しく稼働するか
- 要件通りに出来上がっているか
- 使用する上で問題はないか
- セキュリティーにおける問題点はないか
- 契約内容にシステムの操作マニュアルや仕様書が含まれている場合には、その内容に問題がないか
テストによって洗い出した問題点を改修し、受け入れが可能な状態に仕上がれば、検収書にサインしてシステムの開発段階は終了です。
システム開発のフロー(工程)フェーズ3:開発後
開発が終了すれば、ここからは実際にシステムを使用していくフェーズです。
ステップ7. システムの本稼働(カットオーバー)
新しいシステムの場合にはシステムを導入し、現行システムとの入れ替えの場合にはシステムを移行し、システムを本稼働してユーザーである業務部門が使用を開始します。
ステップ8. システムの運用・保守
システムの本稼働が始まったら、システムの運用・保守のステップになります。
運用・保守というのは、開発したシステムが安定して稼働しているか監視やメンテナンスを行い、システム障害が発生した際に復旧させる等の対応をするもので、開発とは別に契約を結び、別料金になるのが一般的です。
通常、年間費用は開発費の5%〜15%になりますが、システム開発の契約を結ぶ段階で、運用・保守は継続して依頼できるのか、料金はいくらなのか、その必要性と併せてあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
[まとめ]システム開発のフロー(工程)を知って自社の開発に役立てよう
システム開発における各ステップの所要時間は開発するシステムの規模によっても異なりますし、前述の通り、開発手法によってフロー(工程)は一通りではありません。
それでも、大まかな流れや必要なステップを事前に知っておくことは、発注者側にどのような作業が必要になるのかを把握でき、そのための人員確保を予測することができたりと、スムーズなシステム開発の実施において有益なことと言えるでしょう。
なお、システム開発の外注先選びでお困りの方は、弊社までお気軽にご相談ください。
当社がこれまで支援してきた開発事例の共有、企画・コンサルティング、要件定義や実際の開発支援まで包括的にサポートさせていただくことが可能です。
システム開発を失敗しないために、弊社が相見積もりの取得までをサポートさせていただくことも可能です。むやみな営業電話などは決して行いませんので、まずは無料のご相談をお待ちしております。
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