第4回 / 施策をもとに暫定スケジュールを立てよう

PoC(Proof of Concept、概念実証)とは、新しいアイデアの実現可能性や課題を解決する効果について検証する取り組みです。

この「PoCのロードマップ」シリーズでは、自社に新しいSFA(営業管理システム)を導入する企業があると想定し、順を追ってPoCの進め方について解説していきます。

本記事では、「第3回 / 目標達成のために必要な施策を洗い出そう」で説明したPoCプロジェクトの施策を実行するためのスケジュールの立て方について解説します。

なお、PoCを実施する上で理解しておくべき基礎知識は下記の記事で詳しくまとめております。「PoCについてより詳しく知りたい」「PoCという言葉は知っているけど詳細までは分からない」という方は、まずこちらの記事をご覧ください。

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目次

PoCプロジェクトのスケジュールの立て方

PoCプロジェクトのスケジュールを立てる際は、まずPoCの対象となるプロダクトの開発計画や導入計画の中でPoCに充てられる期間が決まっているかを確認します。

プロダクトの開発計画が未定の場合は、PoCの実施期間を必要な施策の積み上げによって暫定スケジュールを決め、プロダクトの計画との整合性を確認します。

具体的には、ここまでのステップでPoCプロジェクトで実施する施策は決まっていると思いますので、施策に関する作業内容や必要工数を把握し、それを積み上げてスケジュールに落とし込んでいきます。

もし、対象のプロダクトのプロトタイプを制作したり、既存プロダクトを改修したりする必要がある場合、施策の実施前に準備期間も設定する必要があります。

施策を実施する期間が決まったら、施策の結果を検証するための期間を設定し、PoCプロジェクトが完了するタイミングを明確にします。

これで暫定スケジュールが決まりますので、関係者に共有して内容に抜け漏れがないかを確認しましょう。

SFA導入のためのPoCの暫定スケジュールを立てる

前回の記事では、本シリーズで想定しているSFA導入のPoCプロジェクトに必要な施策を以下のように設定しました。

  • 施策1:営業メンバーが自身の営業業務履歴をSFA登録に登録する
  • 施策2:営業メンバー間で、担当者変更を想定した案件の引き継ぎを行う
  • 施策3:引き継ぎ後の営業メンバーが業務履歴を登録し、他のメンバーが課題を確認して必要なサポートを提供する
  • 施策4:営業メンバーの商談件数を計測する
  • 施策5:営業メンバーの失注案件数を削減できるか確認する
  • 施策6:営業メンバーが受注するまでの再訪問回数を確認する

施策1はSFAに情報を溜めていく期間でもあり、実施期間は営業活動の頻度に応じて調整する必要があります。

今回対象としている企業の場合はまず50件程度の商談を記録したいと考え、週に3〜4件の顧客訪問があり、PoC参加メンバーを4名として、実施期間を4週間とします。

施策2は施策1の後、案件の引き継ぎ期間を過去の平均的な期間をベースに設定し、ここでは2週間とします。

施策3は施策2の後、引き継いだメンバーの営業活動に対して他のメンバーがサポートできるかどうか、さらにサポートの頻度や内容が適切かを確認する期間です。

ここではこの企業の1件当たりの平均的な商談期間として4週間とします。

施策4から施策6までは、PoC実施期間における発生件数を計測する内容です。

施策1から施策3を実施している10週間の期間に加えて、さらに4週間の期間を設定し、全体で14週間の営業活動の結果を確認することにします。

その際、商談以外の資料作成時間の計測(施策4)、各案件に対する改善案の提案や教育の実施(施策5)、最適な営業資料の提供(施策6)など、それぞれの施策に関連する活動についても記録します。

あとはPoCの結果検証期間として2週間、PoC用のSFA導入への対応期間として2週間を設定し、PoCプロジェクト全体で18週間の暫定スケジュールを決めます。

まとめ

PoCは新しいアイデアを実際の環境で検証し、プロダクト開発やシステム移行を成功に導くための重要なプロセスです。

本記事では、SFA導入のためのPoCプロジェクトを例として、PoCの暫定スケジュールの立て方について説明しました。

PoCを実施する際のスケジュールの立て方について、より詳しく解説した記事が「PoCプロジェクトのスケジュールの立て方について解説します」となります。詳細を知りたい方はぜひご覧になってみてください。

「PoCのロードマップ」の次回の記事では、PoCプロジェクトを実施するための予算の決め方について解説します。「第5回 / プロジェクト予算を決めよう」をぜひご覧になってみてください。

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