第3回 / 目標達成のために必要な施策を洗い出そう

PoC(Proof of Concept、概念実証)とは、新しいアイデアの実現可能性や課題を解決する効果について検証する取り組みです。

この「PoCのロードマップ」シリーズでは、自社に新しいSFA(営業管理システム)を導入する企業があると想定し、順を追ってPoCの進め方について解説していきます。

本記事では、「第2回 / PoCで達成したい数値目標を定めよう」で説明したPoCプロジェクトの数値目標を達成するために、PoCで実施すべき施策の決め方について解説します。

なお、PoCを実施する上で理解しておくべき基礎知識は下記の記事で詳しくまとめております。「PoCについてより詳しく知りたい」「PoCという言葉は知っているけど詳細までは分からない」という方は、まずこちらの記事をご覧ください。

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目次

PoCプロジェクトの施策の洗い出し方

PoCプロジェクトで設定した数値目標を検証する際の考え方として、PoCの目的目標を達成するのためにの必要となる最低限の機能に対してで検証を行うことが大切です。

PoCの対象となるプロダクトは大抵、複数の機能の集合体として設計されています。

このような複雑なプロダクトをそのままPoCに用いた場合、目標として設定した数値に影響を与えている機能が何かわからず、検証を行うことが難しくなります。

その結果、目的には関係のない機能が原因のせいで効率が悪かったり、検証に参加するユーザーが使い方の習得に時間がかかって使い物にならない、という状態が発生してしまうする可能性があります。

目標数値を設定した項目に対して影響を与える機能を確認し、その機能の検証を進めるようにしましょう。

検証すべき機能を決めたら、あとはその機能を用いて目標数値を計測する手順を確認します。

SFA導入のためのPoCの施策を洗い出す

前回の記事では、本シリーズで想定しているSFA導入のPoCプロジェクトの数値目標を以下のように設定しました。

業務内容の共有化が実現できたかどうかを検証する数値目標

  • 営業業務の履歴の登録率80%以上
  • 担当者変更による業務引き継ぎ時の教育時間50%削減
  • 営業メンバーおよびアシスタントメンバーからのフォロー頻度50%増加
  • 営業力が強化されたかどうかを検証する数値目標
  • 商談件数50%増加
  • 見込顧客の成約率30%増加
  • 契約受注までのリードタイム50%削減

それぞれの目標を検証するための施策として、以下のようなものが考えられます。

営業業務の履歴の登録率80%以上

PoCに参加する営業メンバーに自身の営業業務履歴をSFAに登録してもらい、その登録率を確認します。登録する項目としては、担当案件の訪問回数、日時、同行者、商談内容、先方の課題、業界の情報、再訪予定などとします。

メンバーにとってSFAへの登録作業は手間が増えるため、使ってもらえないかもしれません。したがって、SFA導入のメリットを伝え、折に触れて登録を周知する必要があります。

場合によっては、SFAの操作に慣れるまでは登録する情報を絞り、履歴登録の習慣化を優先しても良いでしょう。

担当者変更による業務引き継ぎ時の教育時間50%削減

業務引き継ぎ時の作業効率化をテストするため、PoCに参加する営業メンバー間で、担当者変更を想定した案件の引き継ぎを行い、その引き継ぎに要する時間を確認します。

具体的には、営業業務の履歴登録がある程度進んだ段階で、案件を引き継ぐ担当者が元の担当者と交代できるようになるまでの期間を計測し、引き継ぎが効率化されているか検証します。

営業メンバーおよびアシスタントメンバーからのフォロー頻度50%増加

PoCに参加するメンバー間で業務引き継ぎを行なった際に、引き継ぎ前のメンバーやアシスタントメンバーが、引き継ぎ後のメンバーをフォローできるか確認します。

まずは案件を引き継いだメンバーが業務履歴を登録し、その履歴を確認した他のメンバーが課題を確認して必要なサポートを提供します。

情報共有が進んでいれば、的確なタイミングでフォローできる回数が増えていくと考えられます。

商談件数50%増加

PoCに参加する営業メンバーの商談件数を計測し、その増加率を確認します。

SFAを利用することにより、商談以外に対応しなければならない資料作成などの準備作業を効率化できるため、結果として商談件数を増やすことが可能になります。

見込顧客の成約率30%増加

PoCに参加する営業メンバーの受注に至らない案件数が削減でき、成約率が増加するか確認します。

初回訪問が多く、2回目以降の商談に繋がらないような場合は、営業メンバーの業界や顧客課題に対する理解が不十分かもしれません。

このような場合、SFAを用いて改善案の提案や他のメンバーのやり方を共有するなど、成約率改善のための技術共有が可能となります。

契約受注までのリードタイム50%削減

PoCに参加する営業メンバーが、契約を受注するまでに要する再訪問の回数を確認します。

受注までのリードタイムの長い案件は1件あたりのコストが高いため、商談で利用可能なコンテンツをマーケティング目線で充実させて訪問回数を減らす必要があります。

SFAを用いて最適な営業資料やコンテンツを共有し、受注までの訪問回数を削減するための戦略を検討できます。

まとめ

PoCは新しいアイデアを実際の環境で検証し、プロダクト開発やシステム移行を成功に導くための重要なプロセスです。

本記事では、SFA導入のためのPoCプロジェクトを例として、PoCを実施する際に必要な施策の洗い出し方について説明しました。

「PoCのロードマップ」の次回の記事では、PoCプロジェクトの施策を実行するためのスケジュールの立て方について解説します。「第4回 / 施策をもとに暫定スケジュールを立てよう」をぜひご覧になってみてください。

「まずはPoCついてざっくりと理解したい」という方には、当社で作成した「DXデジタルトランスフォーメーションを成功させるためのPoC(概念実証)進め方と実践の手引き」の資料がおすすめです。下記のリンクからダウンロードしてみてください。

https://funrepeat.com/poc-introduction/document_request/

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この記事を書いた人

PoC入門.comは、株式会社ファンリピートが運営するメディアサイトです。
過去に培った支援実績(プロジェクトケース)・開発ノウハウをもとに、PoC(概念実証)に関連する最新情報や基礎知識を解説しています。PoCの計画から実証までコンサルティングでのご支援も可能ですので、気になることがありましたらお気軽にお問合せください。

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