第1回 / まずはPoCの目的を設定しよう

PoC(Proof of Concept、概念実証)とは、新しいアイデアの実現可能性や課題を解決する効果について検証する取り組みです。

この「PoCのロードマップ」シリーズでは、自社に新しいSFA(営業管理システム)を導入する企業があると想定し、下記の8ステップでPoCの進め方について解説していきます。

1. PoCの目的を決める
2. PoCの数値目標を決める
3. PoCで実施する施策を決める
4. PoCのスケジュールを立てる
5. PoCの予算を決める
6. PoCのリソースを調達する
7. PoCの実証を進める
8. PoCの実証結果を評価する

本記事では、SFA導入のためのPoCプロジェクトの最初のステップである、目的の設定について説明します。

なお、PoCを実施する上で理解しておくべき基礎知識は下記の記事で詳しくまとめております。「PoCについてより詳しく知りたい」「PoCという言葉は知っているけど詳細までは分からない」という方は、まずこちらの記事をご覧ください。

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目次

PoCプロジェクトの目的の決め方

PoCの実施が決まったら、まず最初にするのはPoCの目的を決めることです。

場当たり的なPoCを避けるため、PoCを実施してどのような成果を得たいのかを明確にして、PoC実施前に関係者間で共有・合意しておく必要があります。

PoCの目的は対象となるプロダクトによって異なりますが、新規事業開発の場合は「新製品が市場・ユーザーに受け入れられるか」「事業の採算が合うか」「新しい技術が実際の環境で実現可能か」などが挙げられます。

本シリーズのように、新しい業務システムを自社に導入するためのPoCの場合、その目的は「想定通りに業務が効率化できるか」「システムの投資対効果はどの程度か」「現場の担当者の使い勝手は良いか」などとなります。

PoCの目的が変われば検証する内容や方法が変わりますし、PoCに使用するプロトタイプの機能も変わります。自社の状況と最終的に実現したい状態を明確にして、何のためにPoCを実施するのか定義しておきましょう。

SFA導入のためのPoCの目的を決める

ここで前回の記事で紹介した、本シリーズでSFA導入を想定している企業の営業部門の状況を再確認します。

  • 営業メンバーは20名で、業界ごとに3〜5名のチームで構成されている
  • 営業部門の課題は、担当者が属人的な営業をしているため営業プロセスが不透明なことと、チーム間の情報共有が不十分であること
  • 営業部隊の人員拡大を計画しており、営業担当者の経験や知識の共有を促すためにSFAの導入を試みている

今回、この企業では営業業務の属人性と情報共有がうまくできていないことが課題となっています。

そこで、PoCの目的を決めるためにSFAを導入した後にどのような状態になっていたいかを明確にします。まず、営業業務の属人化に関しては、各営業メンバーの営業プロセスが不透明であり、戦略的な営業活動の妨げになっていると考えられます。

顧客ごとの商談履歴や営業活動の進捗状況がチーム内に開示されていれば、受注までに上司の同行回数を増やしたり、営業メンバー同士またはアシスタントメンバーからのフォローも的確に実施できるようになります。

さらに、異動や退職などにより新しい担当者への引き継ぎもスムーズに行うことができ、機会損失も防げます。

一方の情報共有に関しては、チーム内はもちろん自社内の複数のチーム間での営業情報を共有化することにより、過去の資料などから必要な情報を必要なタイミングで入手でき、営業活動の効率化につながります。

複数の拠点で営業活動している場合は、拠点間の情報共有をすることにより、異なる地域の同業種の顧客に対して過去に実績のあるアプローチを実践することも可能です。

したがって、今回のPoCプロジェクトでは、次の目的を設定しました。

  • 営業活動を見える化して属人化を防げるか検証する
  • 営業部門内の情報共有を実現して営業活動を効率化できるか検証する

なお、PoCが終了したとき、上記の目的が達成できているかどうかを確認するためには、目標となる数値を明確に定義しておくことが大切です。

PoCで達成するべき数値目標の設定方法については、次回、第2回の記事で解説します。

まとめ

PoCは新しいアイデアを実際の環境で検証し、プロダクト開発やシステム移行を成功に導くための重要なプロセスです。

本記事では、SFA導入のためのPoCプロジェクトを例として、PoCの目的の決め方について説明しました。

「PoCのロードマップ」の次回の記事では、PoC実施後の方向性を判断するために必要な目標値の設定の仕方について解説します。「第2回 / PoCで達成したい数値目標を定めよう」をぜひご覧になってみてください。

新規事業でPoCを進める場合に、具体的な内容を解説した記事が「PoC 新規事業(仮)」となります。詳細を知りたい方はぜひご覧になってみてください。

また、システム移行でPoCを実施する場合の進め方を知りたい方は「PoC クラウド(仮)」もご覧になってみてください。

「まずはPoCついてざっくりと理解したい」という方には、当社で作成した「DXデジタルトランスフォーメーションを成功させるためのPoC(概念実証)進め方と実践の手引き」の資料がおすすめです。下記のリンクからダウンロードしてみてください。

https://funrepeat.com/poc-introduction/document_request/

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この記事を書いた人

PoC入門.comは、株式会社ファンリピートが運営するメディアサイトです。
過去に培った支援実績(プロジェクトケース)・開発ノウハウをもとに、PoC(概念実証)に関連する最新情報や基礎知識を解説しています。PoCの計画から実証までコンサルティングでのご支援も可能ですので、気になることがありましたらお気軽にお問合せください。

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