PoC(Proof of Concept、概念実証)とは、新しいアイデアの実現可能性や課題を解決する効果について検証する取り組みです。
この「PoCのロードマップ」シリーズでは、自社に新しいSFA(営業管理システム)を導入する企業があると想定し、順を追ってPoCの進め方について解説していきます。
本記事では、「第6回 / 予算が取れたらリソースの調達を行おう」で説明した外部リソースについての補足として、実際に外部の発注先を選ぶ際の注意点について解説します。
なお、PoCを実施する上で理解しておくべき基礎知識は下記の記事で詳しくまとめております。「PoCについてより詳しく知りたい」「PoCという言葉は知っているけど詳細までは分からない」という方は、まずこちらの記事をご覧ください。
PoC業務を外注する際の注意点
PoCにおいて外部リソースをうまく活用できると、高度なスキルを保有する人材を有効活用できるため、業務の処理速度も向上し、さらに品質も高くなります。
ただし、よく考えずに外注先を選んでしまうとPoCプロジェクトが失敗する可能性もあるため、以下の点に注意しましょう。
PoCコストが増加しないか
自社の社員に支払う給料をベースとして考えた場合、同じ業務を外注すると費用が割高になるのは避けられません。さらに、自社で対応できる業務を全てアウトソーシングしてしまうと、業務効率が落ちることもあります。
PoCのどのプロセスを外注するとコストと効率が最適なバランスになるか、事前に検討しておく必要があります。
信頼のおける外注先か
万が一、質の悪い外注先にPoCを依頼した場合、業務の品質低下や情報漏洩、自社ノウハウの流出といったデメリットが発生する可能性があります。
契約を結ぶ前に、依頼する業務の進捗報告や品質管理に問題がないか、業務に関する責任範囲や情報の取り扱いに関する契約内容をしっかり確認しておきましょう。
PoCで外注先を選ぶポイント
ここからは、実際にPoCで外注先を選ぶ際のポイントについて解説します。
柔軟な対応が可能か
自社の人材であれば、状況の変化に応じて臨機応変に対応してもらえますが、外部の人材が柔軟に対応してくれるとは限りません。
PoCプロジェクトでは、PoCの検証サイクルを回すうちに目的や施策が変わるかもしれませんし、チームで議論しながら最適な検証方法を考え続ける必要があります。
したがって、契約書に契約条件の変更に関する内容を盛り込むなど、計画変更に対する柔軟な対応ができるように考慮しましょう。
PoCの実施体制を確認する
外注企業によっては、その企業が下請け企業や孫請け企業に業務を外注することもあります。こうなると関わる作業者が増えるために業務のレスポンスが遅くなったり、予想外の費用が発生するかもしれません。
アウトソーシングを請け負う企業によっては、専属のディレクターが受注内容をヒアリングして適切な業務体制を提案してくれますので、確認してみると良いでしょう。
これまでの実績について確認する
これまでにどのようなPoCプロジェクトに関わったかを確認します。
PoCの対象となるプロダクトには、ハードウェアやAIの開発を伴う新規事業から既存の業務の管理システムへの移行まで様々なものがあります。
自分達が計画しているPoCプロジェクトと類似したケースの成功事例があるか、確認しておきましょう。
完全に「おまかせ」にしない
外部リソースを活用するといっても、PoCに関する業務を全て外注した場合、PoCの進め方に関する情報やノウハウが自社に蓄積されないことがあります。
自社にノウハウが蓄積できていない場合、外注先として業務を委託していた企業に何かトラブルが起こった際にPoCを再開できないなど、困った事態が発生するかもしれません。
PoCプロジェクトを進める上で、マニュアルの整備やノウハウの共有などが可能か事前に確認しましょう。
まとめ
PoCは新しいアイデアを実際の環境で検証し、プロダクト開発やシステム移行を成功に導くための重要なプロセスです。
本記事では、PoCプロジェクトで外部リソースを調達する際の発注先を選ぶ際の注意点について説明しました。
「PoCのロードマップ」の次回の記事では、PoCプロジェクトでリソースを用いて実証を進める方法について解説します。「第7回 / 調達したリソースをもとに実証を進めよう」をぜひご覧になってみてください。
PoCプロジェクトを外注する方法、外注業者の選び方などを開設した記事が「PoCを実施する前に-コンサル会社のおすすめの活用方法-」です。詳細を知りたい方はぜひご覧になってみてください。
PoCの経験があまりない場合は、PoCのコンサルティングを行う業者への依頼も有効です。「PoCを依頼できる開発会社6社を厳選!特徴を踏まえてご紹介!」で紹介しています。PoCについてコンサルの活用を検討されている方は、ぜひご覧になってみてください。
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