PoC（Proof of Concept、概念実証）とは、新しいアイデアの実現可能性や課題を解決する効果について検証する取り組みです。
この「PoCのロードマップ」シリーズでは、自社に新しいSFA（営業管理システム）を導入する企業があると想定し、順を追ってPoCの進め方について解説していきます。
本記事では、「第4回 / 施策をもとに暫定スケジュールを立てよう」で決めたPoCプロジェクトを実行するための予算の決め方について解説します。
なお、PoCを実施する上で理解しておくべき基礎知識は下記の記事で詳しくまとめております。「PoCについてより詳しく知りたい」「PoCという言葉は知っているけど詳細までは分からない」という方は、まずこちらの記事をご覧ください。
PoCプロジェクトの予算の決め方
まずは、PoCプロジェクトの予算を決めるに当たり、どのような費用が発生するのか確認しておきましょう。一般的にPoCで発生する費用には、以下のようなものがあります。
人件費
PoCに参加する自社メンバーの人件費を人月単位で算出します。
外注費用
PoCの内容によっては、PoCの計画から実施までを請け負ってくれる外部の業者に依頼することもあります。
この場合はPoCに要する期間に応じた人件費が発生し、PoCのフェーズごとにどれくらいの期間が必要かが決まれば、各フェーズの人件費を人月単位で計算して費用を算出できます。
機材の購入・製造費用
PoCに使用するPCなどの機材の購入費用やリース費用、機器の設置・設定費用がかかることがあります。
システム導入などの場合は、対象となるプロダクトのPoC用プロトタイプを制作したり、PoC用に市販システムの一部を改修して検証に用いるケースもあります。
会議・イベント費用、旅費
PoCを実施する際に、外注企業との打ち合わせを設定したり、システム導入などの場合は研修を受けることがあります。
以上がPoCプロジェクトで主に発生する費用です。
PoCプロジェクトの予算を決める際は、PoCで実施する施策ごとに必要な工数、制作物、備品等を確認し、それぞれに掛かる費用を見積もった上で、不足の事態に対応するための予備費を全体の10%程度確保して予算を組みます。
このとき、施策に直接関わるリソースだけでなく、トレーニング費用や作業スペースなどの間接的なコストも漏れなくリストアップするようにしましょう。
SFA導入のためのPoCの予算を決める
前回の記事では、本シリーズで想定しているSFA導入のPoCプロジェクトの暫定スケジュールを以下のように設定しました。
- PoC用のSFA導入対応期間：2週間
- 営業メンバーの履歴登録：4週間
- 営業メンバー間での案件の引き継ぎ：2週間
- 引き継ぎ後の営業メンバーへのサポート：4週間
- 営業メンバーの商談件数、失注案件数、再訪問回数の計測：4週間
- PoCの結果検証期間：2週間
PoCに参加するメンバーの人件費は、上記の約４ヶ月で3名のメンバーが対応するとした場合、50万円×4ヶ月×3名=600万円となります。
また、上記のスケジュールにおいて、外注業者に依頼する項目は最初のSFA導入対応と、PoCの結果検証とし、それ以外の期間は2週間に1回の状況確認のための打ち合わせであるとして、外注費用は200万円とします。
今回のSFAの導入対応では特にカスタマイズなどは不要であり、検証用のPCも普段メンバーが業務に使用しているものをそのまま使用するため、機材の購入等に関しては特に費用が発生しませんでした。
したがって、今回のSFA導入のためのPoCプロジェクトの予算はトラブル対応等を措定した予備費100万円を加えて900万円とします。
まとめ
PoCは新しいアイデアを実際の環境で検証し、プロダクト開発やシステム移行を成功に導くための重要なプロセスです。本記事では、SFA導入のためのPoCプロジェクトを例として、PoCを実施する際の予算について説明しました。
PoCを進める際に発生する費用と予算について、より詳しく解説した記事が「PoCを実施する際の費用と予算感について解説します」となります。詳細を知りたい方はぜひご覧になってみてください。
「PoCのロードマップ」の次回の記事では、PoCプロジェクトを実施するためのリソースの調達について解説します。「第6回 / 予算が取れたらリソースの調達を行おう」をぜひご覧になってみてください。
「まずはPoCついてざっくりと理解したい」という方には、当社で作成した「DXデジタルトランスフォーメーションを成功させるためのPoC（概念実証）進め方と実践の手引き」の資料がおすすめです。下記のリンクからダウンロードしてみてください。
