PoC（Proof of Concept、概念実証）とは、新しいアイデアの実現可能性や、課題を解決する効果について検証する取り組みです。新しいプロダクトを開発する場合において、少ない予算かつ短期間でプロダクトがうまくいくかどうかを確認できる有効な手段です。
本記事では、PoCを実施するメリットとデメリットについて詳しく解説します。
PoCを実施する上で理解しておくべき基礎知識は下記の記事で詳しくまとめております。「PoCについてより詳しく知りたい」「PoCという言葉は知っているけど詳細までは分からない」という方は、まずこちらの記事をご覧ください。
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PoCのメリット
新しいプロダクトを開発する際は、投資金額や開発期間などコストが大きくなるため、PoCを実施することにより開発の早い段階で実現性や有効性を検証することが重要です。
ここでは、PoCを実施する具体的な３つのメリットについてご説明します。
低予算でプロダクトの検証を行える
PoCの対象となるプロダクトは新製品や新サービスなど、まだ誰も見たこと・使ったことがないものです。
このような新しいアイデアの場合、いきなり予算とヒトをつぎ込んでプロダクトの製作に突き進むのは得策ではありません。まずは小規模にプロトタイプをつくり、自分たちが想定しているユーザーの課題が、本当に解決できるのかどうかを確認すべきです。
大きな予算で一気に開発を進めた場合、途中で軌道修正を行うのは大変な労力を伴う作業となります。
開発初期にユーザーの反応を確認できる
PoCでは、ターゲットとしているユーザーにプロトタイプを使用してもらい、その反応を確認することで修正点を見つけることができます。
もしすでにプロトタイプができている場合、それを自社のメンバーだけで検証すると開発者のバイアスがかかり、客観的な評価は難しいものです。
開発の初期段階であれば、ユーザーのリアルな反応を得た結果、プロダクトの大幅な仕様変更が必要な場合にも対応することが可能です。
スムーズな意思決定を実現できる
例えば、企業内での新規事業を想定した場合、新しいアイデアのプロダクトの開発を進めるためには社内の決済者の承認が不可欠です。
このような場合には、新製品が決済者にとって未知の領域のプロダクトであっても、PoCの結果として得られた技術的な実現性や費用対効果の数字を用いることにより、プロダクト導入から成功までのストーリーを説得力を持って説明することができます。
PoCのデメリット
ここまで説明したように、PoCは新しいプロダクト開発を進める上でいくつものメリットがあります。一方、PoCを実施したにも関わらず、プロダクト開発がうまく進まないケースもあります。
ここでは、PoCを実施する際に注意が必要な３つのデメリットについてご説明します。
間違ったやり方で進めるとコストがかさむ
PoCの内容は対象プロダクトによって変わりますが、検証を進めるためのステップはほぼ決まっています。
最初にPoCのゴールを決めたら、そのゴールを達成するための要件を決め、プロトタイプに落とし込み、ユーザーに使ってもらい、検証結果をプロダクトの開発内容にフィードバックします。
それぞれのステップで実施する内容を曖昧にしたり、検証結果から適切な学びを得られなければ、検証結果をプロダクト開発に落とし込めなくなり、何度もPoCを繰り返すことになります。その結果、PoCを行うコストが膨れ上がる可能性があります。
関係者と共通の理解を得るための手間がかかる
PoCという言葉自体は近年よく耳にするため、プロダクト開発側もユーザー側もどのようなことをするか想像できていることが多いです。
ただし、PoCの目的と検証内容はプロジェクトごとに異なるため、関係者の間、例えば担当者であるプロジェクトマネージャーと、その上長や決済者の間で、認識が異なる場合があります。
関係者間でPoCへの認識が異なると、得られた結果への対応で齟齬が発生するためPoCをやり直すことになったり、失敗と受け取られてしまうかもしれません。
PoCを実施する前には、関係者間で目的と内容の認識を一致させる手間を惜しまず、丁寧なコミュニケーションを徹底する必要があります。
PoCを成功させるために知識と経験が必要
PoCはよく知られるようになった取り組みとはいえ、ただ決められた手順に沿って進めれば成功するというものではありません。
プロジェクトマネージャーにPoCの知識や経験が不足している場合、スケジュールの見積りの甘さからプロダクト開発が遅延したり、PoCの目的化により検証結果の判断が難しくなることがあります。
PoCを推進するプロジェクトマネージャーは、PoCに関する一般的な知識を身につけるだけでなく、PoCプロジェクトを実際に経験する中で自社に必要なノウハウを身に付けなければなりません。
まとめ
PoCは新しいプロダクト開発を行う上で重要なプロセスです。とくにDXプロジェクトのような新しく複雑なプロジェクトを推進する場合、PoCによりプロダクトの実証を繰り返し行うことで、プロジェクトを成功に導くことが可能となります。
本記事では、PoCで生じるデメリットについても解説しました。プロジェクトを遂行する際には気をつけましょう。
実際にPoCが失敗に終わってしまうパターンについて、より具体的な内容をまとめた記事が「PoCが失敗する理由をよくあるパターン別に詳しく解説」となります。詳細を知りたい方はぜひご覧になってみてください。
「まずはPoCついてざっくりと理解したい」という方には、当社で作成した「DXデジタルトランスフォーメーションを成功させるためのPoC（概念実証）進め方と実践の手引き」の資料がおすすめです。下記のリンクからダウンロードしてみてください。
