PoC(Proof of Concept、概念実証)とは、新しいアイデアの実現可能性や課題を解決する効果について検証する取り組みです。
この「PoCのロードマップ」シリーズでは、自社に新しいSFA(営業管理システム)を導入する企業があると想定し、順を追ってPoCの進め方について解説していきます。
本記事では「第1回 / まずはPoCの目的を設定しよう」で説明したPoCプロジェクトの目的に対して、具体的な数値目標の決め方について解説します。
なお、PoCを実施する上で理解しておくべき基礎知識は下記の記事で詳しくまとめております。「PoCについてより詳しく知りたい」「PoCという言葉は知っているけど詳細までは分からない」という方は、まずこちらの記事をご覧ください。
PoCプロジェクトの数値目標の決め方
PoCプロジェクトで得られた実証結果は、対象となるプロダクトの開発内容にフィードバックする必要があるため、開発の方向性を判断する具体的な数値目標を設定しておくことが重要です。
例えば、新しい業務システムの導入に関するPoCプロジェクトの場合に、PoCの目的が「業務システム導入による業務効率効果を検証する」だったとします。
この時の数値目標は以下のようなものが考えられます。
- その業務1件にかける時間を20%削減する
- その業務の担当人員を20%削減する
- その業務を完了させるまでの作業ステップを半減させる
PoCプロジェクトを実施する中で上記の数値を計測し、目標を達成したかどうかを確認します。設定した数値目標を達成していれば、その新しい業務システムを導入することにより業務効率を改善できると考えられるため、実際にシステム導入に投資するという判断ができます。
仮に達成できない数値があった場合は、導入後にどの程度のインパクトがあるかを想定してシステム導入の対応を考えます。現状の課題に対してどのような効果が得られるか、さらに将来的にどのように対応すべきかも考えて検討しましょう。
SFA導入のためのPoCの目標数値を決める
前回の記事では、本シリーズで想定しているSFA導入のPoCプロジェクトの目的を以下のように設定しました。
- 営業活動を見える化して属人化を防げるか検証する
- 営業部門内の情報共有を実現して営業活動を効率化できるか検証する
これらの目的について、どのような数値目標を設定すると良いでしょうか。
まず、一つ目の目的の「属人化を防げるか検証する」の場合、属人化の度合いを示す定量的な数値を考えます。属人化が起こる原因としては、「業務の専門性が高く担当者が限られる」「担当者の業務量が多いため情報共有ができていない」などが考えられます。
そこで、PoCでは業務内容の共有化を実現するための数値目標として次のようなものを設定します。
- 営業業務の履歴の登録率80%以上
- 担当者変更による業務引き継ぎ時の教育時間50%削減
- 営業メンバーおよびアシスタントメンバーからのフォロー頻度50%増加
次に、2つ目の目的の「営業活動を効率化できるか検証する」の場合、SFA導入による効果として営業活動がどのように効率化されたかを検証します。
具体的には以下のような数値目標を設定します。
- 商談件数50%増加
- 見込顧客の成約率30%増加
- 契約受注までのリードタイム50%削減
まとめ
PoCは新しいアイデアを実際の環境で検証し、プロダクト開発やシステム移行を成功に導くための重要なプロセスです。
本記事では、SFA導入のためのPoCプロジェクトを例として、PoCを実施する際に検証する目標数値の決め方について説明しました。
「PoCのロードマップ」の次回の記事では、PoCの数値目標を達成するための施策の決め方について解説します。「第3回 / 目標達成のために必要な施策を洗い出そう」をぜひご覧になってみてください。
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