業務窓口担当者が抱える課題
私たち株式会社ファンリピートは日々多くのお客様のMicrosoft 365活用をご支援していますが、ヘルプデスクや人事など窓口業務に従事されている担当者様から、こんな悩みを本当によく耳にします。
- 「同じ質問に何度も答えている」
- 「よくある問い合わせ対応に時間が取られて、本来の業務に集中できない」
- 「社員が増えるたびに同じ説明を繰り返している」
- 「SharePointに情報はあるのに、社員が探せずに問い合わせてくる」
このような反復的な問い合わせ対応は、窓口担当者の貴重な時間を奪い、より重要な課題解決や戦略的な業務に取り組む機会を減らしてしまいます。
解決策:SharePointにCopilotエージェントを導入
Microsoft Copilot Studioで作成したAIエージェントをSharePointサイトに配置することで、よくある問い合わせを自動化し、ヘルプデスク業務の負担を大幅に軽減できます。

Microsoft公式ドキュメントによると、SharePointにカスタムエージェントを追加することで、以下のメリットが得られます
チームがコラボレーションする場所で生産性を維持できます。エージェントは、共有ドキュメント、計画、プロジェクトスペースのコンテキスト内で質問に答え、情報を取得し、アクションを実行します。この機能により、ツールの切り替えに費やす時間が削減され、タスクの完了が加速し、全員が調整された状態を維持できます。
どんな時に役立つのか?具体的な活用シーン
- 新入社員のオンボーディング
- 課題: 新入社員が入社するたびに、同じ質問(パスワードリセット、VPN設定、社内システムへのアクセス方法など)に繰り返し対応
- 解決: エージェントがSharePoint上のオンボーディングドキュメントを参照し、24時間365日自動で回答
- 効果: ヘルプデスク担当者は新入社員対応の時間を80%削減
- 社内申請・手続き方法の案内
- 課題: 「経費精算の方法は?」「有給休暇の申請フォームはどこ?」といった手続き関連の問い合わせが毎日発生
- 解決: エージェントが該当するSharePointページやフォームへのリンクを即座に提示
- 効果: 問い合わせ対応時間を1件あたり15分から30秒に短縮
- システム障害時のFAQ対応
- 課題: システム障害時に同じ質問が一斉に寄せられ、ヘルプデスクがパンク状態に
- 解決: エージェントが障害情報ページを参照し、現在の状況と復旧見込みを自動案内
- 効果: 問い合わせ件数を70%削減し、担当者は復旧作業に集中可能
- 社内ナレッジベースの活用促進
- 課題: SharePointに膨大なナレッジが蓄積されているが、社員が検索できずヘルプデスクに問い合わせ
- 解決: エージェントが自然言語で質問を理解し、適切なドキュメントを提示
- 効果: 既存ナレッジの活用率が向上し、同じ問い合わせの繰り返しを防止
この記事で扱うCopilot Studioエージェントの特徴
Copilot Studioで作成したエージェントをSharePointチャネルに展開することで、以下の特徴を持つカスタマイズされたヘルプデスクエージェントが実現します
主な特徴
社員は慣れ親しんだSharePointサイトから離れることなく、右上のCopilotアイコンをクリックするだけでエージェントにアクセスできます。別のアプリケーションを開く必要がありません。
- Microsoft認証: デフォルトで「Authenticate with Microsoft」設定を使用し、セキュアな身元確認応答を提供
- DLPポリシー準拠: 既存のデータ損失防止(DLP)ポリシーに従います
エージェントはSharePointサイト、フォルダー、ファイルの内容を参照し、以下のような回答が可能
- ドキュメントの検索と要約
- 手順書の該当箇所を抽出して提示
- 最新の社内規定や方針を参照
SharePointエージェントを使用する3つの方法
SharePointサイトでCopilotエージェントを使用するには、以下の3つの方法があります
| 方法 | 対象 | コスト | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| 1. 従量課金制のSharePointエージェント | M365 Copilotライセンスを持たないユーザー | 使用した分だけ課金 |
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| 2. M365 Copilot有償ライセンス | 全社的にCopilot機能を活用したい企業 | 月額ライセンス制 |
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| 3. iframe埋め込み型(手動認証) | 外部ユーザーにも公開したい場合 | Copilot Studioのライセンスに依存 |
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今回は「従量課金制のSharePointエージェント」を使用する方法を解説します。
この方法が最適なケース
- まずは特定の部署やチームでヘルプデスクエージェントを試したい
- 初期投資を抑えたい
- 使用状況を見ながら段階的に展開したい
- M365 Copilotライセンスをまだ全社展開していない
参照: Pay-as-you-go services available in Microsoft 365 – Microsoft Learn
従量課金制SharePointエージェントの設定手順
この手順は、Microsoft公式ドキュメント「Set up or disconnect pay-as-you-go billing for Microsoft 365 Copilot」に基づいています。
前提条件
- 必要な権限: Microsoft 365グローバル管理者
- Azureサブスクリプション: 従量課金のリソースグループを作成できるAzureサブスクリプション
- Copilot Studio環境: エージェントを作成済み
1-1. M365管理センターを開く
- 以下のURLにアクセスします
https://admin.microsoft.com/
1-2. Copilotの請求設定にアクセス
- 左側のメニューから「Copilot」→「請求と使用状況(Billing & usage)」をクリック
- 「請求ポリシーを追加する(Add a billing policy)」をクリック

1-3. 請求ポリシーの基本情報を入力
「Billing details」ページで以下の情報を入力します
- Policy name(ポリシー名): 識別しやすい名前(例:「Helpdesk-SharePoint-Agent-PayG」)
- Azure subscription(Azureサブスクリプション): 課金先のAzureサブスクリプションを選択
- Resource group(リソースグループ): 新規作成または既存のものを選択
- Region(地域): テナントIDと使用データが保存される地域を選択(例:Japan East)
「従量課金制サービス使用条件を承諾する」にチェックを入れて「次へ(Next)」をクリックします。

1-4. 対象ユーザーの選択
エージェントを使用できるユーザーを選択します
- すべてのユーザー(All users): 組織内のすべてのユーザーが使用可能
- 特定のグループ(Specific group): 特定のMicrosoft 365グループのみが使用可能
最初は「特定のグループ」を選択し、パイロット部門で試験運用することをお勧めします。効果が確認できたら全社展開に切り替えることができます。
注意: グループはSharePointサイトのグループが参照されます。最初の1,000グループがアルファベット順で表示されます。

選択できたら「次へ(Next)」をクリックします。

1-5. 予算の設定
使用する予算を設定します。これにより、想定外のコスト増加を防ぐことができます。
- 予算額: 月次予算の上限を設定
- アラート閾値: 予算の何%に達したら通知を受け取るかを設定(例:50%、75%、90%)
- メール受信者: 予算アラートを受け取るメールアドレスを指定
- 最初は控えめな予算から開始し、実際の使用状況を見ながら調整
- 複数の閾値(50%、75%、90%)でアラートを設定し、早期に気づけるようにする
- ヘルプデスク責任者とIT管理者の両方をメール受信者に含める
注意: メールの受信者は、SharePointサイトのグループが参照されます。

予算の詳細な設定方法については、Set up a budget and monitor usage – Microsoft Learnを参照してください。
1-6. ポリシーの作成
「Review and finish」ページで最終確認を行い、「ポリシーの作成(Create policy)」をクリックします。

※ポリシーの作成には数分かかることがあります。バックグラウンドでAzureリソースのプロビジョニングが行われています。

作成が完了したら「完了(Done)」をクリックします。

2-1. SharePointエージェントサービスを選択
「Billing & usage」ページで、「Pay-as-you-go services」タブを選択します。
「従量課金サービスのSharePointエージェント(SharePoint Agents)」をクリックします。

2-2. 接続状況を有効化
「Billing policy name」で先ほど作成したポリシーを選択し、「接続状況(Connection status)」のトグルを「Connected」に切り替えます。

複数のAzureサブスクリプションや請求ポリシーがある場合は、使用したいものを選択してください。
「保存(Save)」をクリックします。
重要: Microsoft 365 Copilot Chat環境がPower Platformにまだ存在しない場合、この操作時に自動的に作成されます。プロビジョニングは自動的に行われますが、失敗した場合は数分待ってから再試行してください。
3-1. エージェントの動作確認
M365の管理御ページでSHれPointの接続が行えたら、SharePointサイトに移動します。
ページ右上にCopilotアイコンが表示されていることを確認します。
アイコンをクリックして、エージェントとの会話を開始します。

3-2. テスト質問で確認
ヘルプデスク業務に即したテスト質問を投げかけてみましょう:
- 「パスワードをリセットする方法を教えてください」
- 「経費精算の申請フォームはどこですか?」
- 「VPNに接続できない時の対処方法は?」
- 「新入社員向けのオンボーディングガイドはありますか?」
エージェントが適切なSharePointドキュメントを参照して回答することを確認します。
この手順は、Microsoft公式ドキュメント「Publish an agent to SharePoint」に基づいています。
ステップ3でSharePointサイトにCopilotアイコンが表示されることを確認しましたが、これは標準のSharePointエージェント(既製エージェント)です。ここでは、Copilot Studioで作成したカスタムエージェント(ヘルプデスク業務に特化したエージェント)をSharePointサイトに展開する方法を解説します。
4-1. Copilot Studioに移動
https://copilotstudio.microsoft.com/ にアクセスします。
SharePointに展開したいエージェントを選択します。
4-2. エージェントを公開
重要: SharePointチャネルに展開する前に、エージェントを公開(Publish)する必要があります。
- 上部メニューバーの「Publish」をクリック
- 公開を確認
公開には数分かかる場合があります。公開が完了するまで待ってから次のステップに進んでください。

4-3. SharePointチャネルを設定
上部メニューバーで「Channels(チャネル)」をクリックします。
チャネル一覧から「SharePoint」を選択します。

4-4. SharePointサイトを選択
エージェントを展開したいSharePointサイト名を入力または検索して選択します。
- 社内ポータルサイト
- ヘルプデスクナレッジベースサイト
- IT部門のチームサイト
など、社員がよくアクセスするサイトに展開することで、利用率が向上します。
注意: SharePointサイトへのWRITE(書き込み)アクセス権限が必要です。

4-5. エージェントを展開
SharePointサイトを選択したら、「展開(Deploy)」をクリックし、「確認(Confirm)」をクリックして展開を確定します。

展開が成功すると、成功メッセージが表示されます。
4-6. カスタムエージェントの動作確認
展開が完了したら、再度SharePointサイトに移動して、カスタムエージェントが正しく表示されるか確認します。
右上のCopilotアイコンをクリックすると、エージェント選択画面が表示されます。
展開したカスタムエージェントが一覧に表示されていることを確認してください。

- 標準SharePointエージェント: SharePointの既製エージェント。基本的なSharePointコンテンツへの質問に対応
- カスタムエージェント: Copilot Studioで作成した独自のエージェント。ヘルプデスク業務に特化した会話フロー、カスタムトピック、外部システム連携などが可能
4-7. エージェントを承認済みとしてマーク(オプション)
すべてのSharePointユーザーがカスタムエージェントを簡単に見つけられるようにするには、エージェントを「承認済み(Approved)」としてマークします。
- SharePointサイトの設定から、エージェントを「Approved」に設定
- 承認済みエージェントは、専用の「Approved」セクションに表示され、すべてのユーザーに見やすくなります
詳細はManage agents in SharePoint – Microsoft Supportを参照してください。

導入後の運用とモニタリング
1. 使用状況のモニタリング
Microsoft 365管理センターで以下を定期的に確認します:
- 使用量とコスト: 「Copilot」→「Billing & usage」で現在の使用量と予算の消費状況を確認
- 予算アラート: 設定した閾値に達した場合、メールで通知が届きます
また、Azure Cost Managementでも詳細なコスト分析が可能です:
Azure Cost Management(リソースグループへの読み取りアクセス権限が必要)
参照: View costs and billing for Microsoft 365 Copilot pay-as-you-go – Microsoft Learn
2. Copilot Studioでのエージェント分析
Copilot Studioの分析ダッシュボードで以下を確認:
- 総会話数
- 解決率(エージェントが回答できた割合)
- エスカレーション率(人間のヘルプデスクに引き継がれた割合)
- よく聞かれるトピック
- ユーザー満足度スコア
これらのデータを基に、エージェントの改善点を特定します。
3. 継続的な改善
- FAQの更新: よく聞かれる質問でエージェントが答えられないものは、SharePointドキュメントを追加または更新
- 会話フローの調整: エスカレーション率が高いトピックは、会話フローを改善
- ナレッジソースの拡充: 新しいSharePointサイトやドキュメントライブラリをエージェントのナレッジソースに追加
まとめ
従量課金制のSharePointエージェントを使用することで、M365 Copilotの有償ライセンスなしでも、SharePointサイトにAI搭載のヘルプデスクエージェントを導入できます。
導入によって実現できること
- 反復的な問い合わせ対応の自動化 – よくある質問への24時間365日自動対応
- ヘルプデスク担当者の負担軽減 – 単純な問い合わせから解放され、複雑な問題解決に集中
- コスト削減 – 問い合わせ対応工数を削減
- 一貫性のある回答 – SharePointドキュメントに基づく正確で一貫した情報提供
- 社員満足度の向上 – いつでもすぐに回答が得られる環境
- ナレッジベースの活用促進 – 蓄積された情報を最大限に活用
設定の流れ(再掲)
- ステップ1: M365管理センターで請求ポリシーを作成
- 請求ポリシーの基本情報を入力(名前、サブスクリプション、リソースグループ、地域)
- 対象ユーザーと予算を設定
- ステップ2: SharePointエージェントサービスを請求ポリシーに接続
- 従量課金サービスのSharePointエージェントを選択
- 接続状況を有効化
- ステップ3: SharePointサイトでCopilotアイコンが表示されるか確認
- SharePointサイトに移動
- 右上にCopilotアイコンが表示されることを確認
- ステップ4: Copilot Studioで作成したカスタムエージェントをSharePointに展開
- Copilot Studioでエージェントを公開
- SharePointチャネルを設定
- 展開先のSharePointサイトを選択
- カスタムエージェントを展開
- 動作確認と承認済み設定(オプション)
参考リソース
- Pay-as-you-go services available in Microsoft 365 – Microsoft Learn
- Set up or disconnect pay-as-you-go billing for Microsoft 365 Copilot – Microsoft Learn
- Publish an agent to SharePoint – Microsoft Learn
- Publish and connect agents to SharePoint sites – Microsoft Learn
- Microsoft 365 Copilot agents admin guide – Microsoft Learn
- Microsoft Copilot Studio Overview – Microsoft Learn


