自己紹介
初めまして!株式会社ファンリピートのSI事業部に所属しております、中垣と申します。
本記事では、社内で「使われる」AIチャットボットを作るための、Copilot Studioの具体的な活用法を解説します。
なぜ今、チャットボットがビジネスに必要なのか
労働力不足と問い合わせ対応の課題
少子高齢化による労働力不足が深刻化する中、限られた人材でどれだけ効率よく業務を回すことができるかが、企業の課題となっています。
特に、日々発生する社内外からの問い合わせ対応は、担当者の時間を大きく占めています。
デジタル化による顧客期待値の変化
スマートフォンの普及により、ユーザーは「24時間365日」疑問点に対し、解決できる回答を求めるようになってきました。
営業時間外の問い合わせにも対応できる体制が、競合他社と比較対象される可能性もあります。
チャットボット導入のメリット・デメリット
- データ蓄積による継続的な改善が可能
- 人的ミスの削減
- 多言語対応で市場拡大のチャンス(予測)
- ABN AMRO銀行の事例:導入により運用・保守コストを大幅削減
ABN AMRO Bank enhances AI capabilities with Copilot Studio and Azure services
- 初期投資(ライセンス費用・構築費用)が必要
- 定期的なメンテナンスが不可欠
- セキュリティ対策の重要性
用途別チャットボットのメリット・デメリット
社内ヘルプデスク用チャットボット
- 「有給申請どうするの?」「経費精算の締切いつ?」などの定型質問を自動化
- 社員の待ち時間ゼロ、24時間いつでも回答
- 人事総務部門の問い合わせ対応時間を削減
Holland America Line transforms customer experience with Copilot Studio
- イレギュラー案件は人間対応が必要
- 社内ルールの事前整理が必須
- 導入初期の社員教育が必要
ビジネスへの影響
→ 繰り返しの質問対応に費やしていた時間を、採用戦略の立案や研修制度の充実へ。
人的リソースを最適化し、組織全体の競争力を高めます。
BtoC顧客対応チャットボット
- 深夜早朝の問い合わせにも即対応
- よくある質問への即答で購買機会損失を防ぐ
- 対応履歴から顧客ニーズを分析可能
- エンゲージメント率が平均30%向上
- 感情的なクレーム対応は困難
- 複雑な商品説明には限界
- ブランドイメージとの調整が必要
ビジネスへの影響
→ 疑問の即時解決がリピート率を高め、良い口コミを生みだします。
実際に作ってみる:Copilot Studioでネコ風チャットボット作成
※CopilotStudioにはすでに登録しているものとして進めていきます。



エージェントの名前を入力。
指示部分には「語尾を「~ニャ🐱」「~ニャン🐱」「~だニャ🐱」「~ですニャ🐱」などネコ風にしてください。」と入力します。
※アイコンは自由に設定して下さい


テストボタンをクリックし、適当に会話を入力します。
※AIを使用して返答するものに関しては語尾が変換されます。
トピックに登録されているものに関しては普通の語尾になっているため、トピックを修正していきます。

CopilotStudioではメッセージ数をいかに消費させないかが肝になります。
トピックを利用したメッセージ消費数は1に対し、生成AIを利用した場合、メッセージ消費数は2になります。
また、返信速度もAIを利用するより返信内容が決まっているトピックを利用した方が圧倒的に速いです。

今回はあいさつを変更します。



入力したメッセージが返ってきます。

他のトピックも作成できたら公開ボタンをクリック


※公開していないとAutomateなどが使用できないため注意。
起動時のあいさつ文を時間帯によって変更したい
あいさつ文がデフォルトのままでは、そっけないため修正していきます。
あいさつ文のメッセージをクリック

5:00-11:59までを「おはようございますニャ😸」
12:00-17:59までを「こんにちはニャ😸」
18:00-4:59までを「こんばんはニャ😸」
上記のように表示させるには、メッセージのPowerFxに下記のコードをあいさつ文のところに入力する。
※Now(), 9に関しては、グリニッジ標準時が採用されるため+9時間の意味を込めて入力する
入力が完了したら、挿入ボタンをクリックし、上の保存ボタンで保存する。If( Hour(DateAdd(Now(), 9, TimeUnit.Hours)) >= 5 && Hour(DateAdd(Now(), 9, TimeUnit.Hours)) < 12, "おはようございますニャ😸", If( Hour(DateAdd(Now(), 9, TimeUnit.Hours)) >= 12 && Hour(DateAdd(Now(), 9, TimeUnit.Hours)) < 18, "こんにちはニャ😸", "こんばんはニャ😸" ) )
またメッセージ内容を下記のように変更します。
If( Hour(DateAdd(Now(), 9, TimeUnit.Hours)) >= 5 && Hour(DateAdd(Now(), 9, TimeUnit.Hours)) < 12, "おはようございますニャ😸", If( Hour(DateAdd(Now(), 9, TimeUnit.Hours)) >= 12 && Hour(DateAdd(Now(), 9, TimeUnit.Hours)) < 18, "こんにちはニャ😸", "こんばんはニャ😸" ) )
、僕は皆さんのアシストをするネコ型AIエージェント Bot.Name string
ですニャ🐱。
ご質問はニャンでしょうか🐱?

右上のリロードボタンをクリックし、時間帯によって表示内容が変更されているか確認する

チャットボットにキャラクターを持たせる理由
心理的距離を縮め、記憶に残りやすいコミュニケーションが取れる
人間の脳は、ありふれた情報よりもユニークで感情を伴う情報を強く記憶する性質があります。
事務的な定型文による応答は、ユーザーに「システムに問い合わせている」という意識を持たせ、心理的な壁を作りがちです。しかし、そこにキャラクター性が加わることで、機械との無機質なやり取りは「個性を持ったアシスタントとの対話」へと変わり、ユーザーの警戒心が解かれ、結果として些細なことでも気軽に質問しやすくなります。
たとえば、こんな仕事にも使えます
「複雑な社内ルールを、新入社員にも分かるように優しく解説する総務部ボット」や「ITに不慣れな社員からの問い合わせに対し、専門用語を避けつつ回答する情シスボット」などが作れます。
キャラクター設定がもたらすビジネス効果
利用率向上に繋がる
親しみやすさが利用のハードルを下げ、再訪を促します。
結果として、無機質なボットに比べ利用率が平均30%も向上したというデータがあります。
SNSでの拡散効果
「この会社のボット面白い!」という驚きはSNSで共有されやすく、広告費をかけずに企業の認知度を高める自然な口コミ効果が期待できます。
Holland America Lineの成功事例
親しみやすい対話で顧客の質問を引き出し、隠れた要望を把握した結果、顧客一人ひとりに満足度の高い提案が可能となり、成約率が向上しました。
注意点
ビジネス用途では「親しみやすさ」と「信頼性」のバランスが重要
過度にカジュアルすぎると、ビジネスシーンでは不適切になる可能性があります。
業界や用途に応じた調整が必要です。
当記事のまとめ
- 生成AIへの指示でキャラクターを定義
- Copilot Studioでは、エージェント作成時の「指示」プロンプトに自然言語で命令を入力するだけで、生成AIが応答する際の基本的な人格や口調をある程度設定できます。
- ただし、トピックに登録されているものに関してはプロンプトの指示が効かないため、注意が必要です。
- トピック機能の活用
- 定型的な質疑応答には「トピック」を設定します。
トピックは生成AIよりも応答処理が速く、かつ、メッセージ消費数も生成AIの半分(1ユニット)で済むため、コストとパフォーマンスの最適化に不可欠です。
トピック内の応答メッセージは、キャラクターを維持するために手動で編集する必要があります。
- 定型的な質疑応答には「トピック」を設定します。
- Power Fxによる条件分岐
- Power Fxを用いることで、静的な応答ではなく動的なコンテンツを提供できます。
記事ではIf関数とHour()関数を組み合わせ、時間によってあいさつ文が変更されるように設定しております。
- Power Fxを用いることで、静的な応答ではなく動的なコンテンツを提供できます。
- タイムゾーンの調整
- Now()関数はグリニッジ標準時(GMT)を返すため、日本時間(JST)で正しく動作させるには
DateAdd(Now(), 9, TimeUnit.Hours)
のように、手動で時差を調整するコードを記述する必要があります。
- Now()関数はグリニッジ標準時(GMT)を返すため、日本時間(JST)で正しく動作させるには
Copilot Studioで実現する、使われる社内ヘルプデスク
本記事で解説した手法により
- トピック機能を利用し、よく聞かれる質問(定番メニュー)への答えをあらかじめ用意しておくことで、AIが一から考えるよりも圧倒的に速く応答でき、さらに利用料金(コスト)も安く抑えることができます。
- Power Fxで「時間によって挨拶が変わる」といった気の利いた応答ができるようになります。
さらにキャラクターの親しみやすさで、「こんなこと聞いてもいいのかな?」という利用者のためらいをなくし、気軽に使える雰囲気を作ることができます。
これにより、形骸化しない『実際に社員が使い続けたくなるヘルプデスク』のDXが実現できます。
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