現在の日本は、第四次起業ブームといえるでしょう。きっかけとなったのは、2013年頃から相次いで設立されたコーポレートベンチャーキャピタルの後押しと、iPhoneやAndroid端末などのスマホの普及です。
スマホによって、個人が膨大な情報や広大なコミュニティに指先ひとつでアクセスできるようになり、誰でも簡単に発信者になることができるようになりました。
こうした情報環境の変化がビジネス界に大きな刺激を与えた結果、新しい環境に適応した新規事業が次々に生み出されているのです。
しかし、新しい事業を思いついたとしても、それを実際にスタートアップして成功できるかどうかを予測することは困難です。インターネット・コミュニティを対象にしたサービス、というような事業の場合、それなりの投資も必要になります。
現在は数多くのスタートアップ向け投資ファンドが存在しますが、投資する側にしても、成功するかどうか分からない事業に投資することはしません。
そこで行われるのがPoC(Proof of Concept)すなわち「概念実証」です。新しい事業の概念が正しいかどうか、すなわち事業が成功するかどうかを、小規模な実験を行って検証するのです。
このPoCを計画・運用し、結果を解析する支援を行うのが、コンサルティング会社です。
PoCコンサルティング会社の役割とは?
PoCの目的は、新規事業が成功するかどうか、事業を本格稼働させる前に客観的に評価することです。PoCの実施を検討している会社は、コンサルティング会社を使うことでPoCの専門家によるサポートを受けることができます。
開発会社と何が違う?
では、システム開発会社とPoCコンサルティング会社では何が違うのでしょうか?
第一には、担当する工程の違いです。PoCは事業の企画段階で行われるものであり、PoCの結果事業を本稼働する判断がされた段階で、システム開発段階に入ります。したがって、通常PoCコンサルティング会社はシステム開発会社より先に顧客と契約することになります。
第二に、目的の違いです。PoCの目的は、事業が成功するかどうかの評価であり、その結果として事業を行わないという判断がされることもあります。それでも、行わないという判断を導いたということで、PoCの目的は達成されたことになります。システム開発会社の目的は、当然正しく稼働するシステムを開発することです。
第三に、求められる専門スキルの違いです。PoCのコンサルティングには、新規事業の全体を見通し、その成否を評価するのに適当なPoCを計画することが重要です。
また、それとともに評価のための指標と判断基準となる目標値を設定する必要があります。PoCコンサルティング会社には、これらを顧客企業に的確にアドバイスするスキルが求められます。
システム開発会社は、PoCの評価も考慮しながら本システムの要件定義を行います。システム開発において最も重要なのは、要件定義と言われます。システム開発会社を選ぶ際は、要件定義をしっかり行うことができるスキルを重視すべきでしょう。
PoCコンサルティング会社を選ぶポイント
新規事業の検討が始まった段階で、コンサルティング会社を選ぶことになります。その際、どのような点に着目して会社を選べばいいでしょうか?そのポイントは、以下の3点です。
1.事業分野
PoCコンサルを生業としているコンサルティング会社は数多くありますが、それぞれ得意とする事業分野が異なります。たとえば、eコマースやクラウドサービスなどのITサービスを多く手掛けている会社もあれば、農業・畜産業が得意な会社もあります。
新規に参入しようとする事業分野が、自社にとってまったく経験がない分野であることもあります。コンサルティング会社が、その事業分野に精通していることは、PoCの計画・実施にあたり、的確なアドバイスを提供できることに繋がります。
コンサルティング会社のPoC実施実績などを参考に、どの事業分野を得意とするか確認しましょう。
2.コンサルティング分野
コンサルティングと一口に言っても、そのサービス内容は多岐にわたります。代表的なものとしては、戦略コンサルティング・業務改善コンサルティング・ITコンサルティングなどがあります。
戦略コンサルティング
企業の経営陣に対し、長期戦略立案・マーケティング戦略・新規事業立案・M&A・人事などの問題解決のためのアドバイスを行います
業務改善コンサルティング
現在の企業内における業務プロセスを見える化し、問題点を抽出することで、最適なプロセスの構築を支援します
ITコンサルティング
ITを活用して企業のさまざまな問題解決を支援しますPoCの実施にあたり、自社が抱えている課題の解決に適したサービスを提供してくれるコンサルティング会社を選びましょう。
3.信頼性
コンサルティング会社が信頼できるかどうかを見極めるのは、なかなか難しいことです。同じ会社でも、担当者によりコンサルティングの質や、得意分野などが異なることもよくあります。信頼できるコンサルティング会社を判断するポイントを3点挙げます。
実務や現場を知っている
PoCといえども、実際に実施・運用するのは現場のスタッフです。現場スタッフにとって大きな負担になるようなPoCは、現場の協力を得られず失敗するようなことになりかねません。実務や現場の実態を知らない理論優先のコンサルティング会社は避けた方がいいでしょう。
分かりやすい言葉で説明することができる
PoCのプレゼンテーションの際、専門的な用語をやたらと並べて自社の優位性をアピールするような会社がたまにあります。
専門用語を誇示するようなプレゼンテーションを行うコンサルテーション会社より、初心者にも分かる言葉で説明できる会社を選びましょう。
知識やノウハウが豊富
PoCを初めて実施するときは誰でも不安なものです。ましてやよく知らない分野の慣れない業務を行うとすれば、スタッフが混乱してしまうこともあるでしょう。
そんなときでも、その事業分野やPoCの経験が豊富で、分からないことを質問しても即座に的確に答えてくれるようなコンサルティング会社を選びましょう。
PoCの主体は自社スタッフ
PoC実施におけるコンサルティング会社の利点や選び方についてご説明しましたが、PoCを実施・評価して事業の成否を判断する主体はあくまで自社である、ということを忘れてはいけません。
当たり前と思われるかもしれませんが、コンサルティング会社にPoCの計画からシステム開発・実施・評価まで丸投げして、あたかもPoCの実施自体が目的のようになってしまうケースがよくあります。
このようなケースでは、PoCの内容や目標が、本来の事業とかけ離れたものとなり、結果的にPoCが目標に達せず事業を見送るようなことになりかねません。
PoCを行う目的は、新規事業成功の可能性を客観的に評価し投資判断を行うことにあります。新規事業の企画者が、どのようにPoCを行えば経営陣や投資家が納得する結果を得られるか、ということを真剣に考えることが必要です。
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