PoC契約書では何に気を付けたらいい?4つのポイントで解説

共同研究開発をしようとしたら、PoC契約書を交わして欲しいと言われて悩んでいませんか? PoC契約は、事業アイデアがどのくらい実現可能なのか検証する目的で実施しますが、注意しないとトラブルの原因になります。今回はPoC契約書の基本や作成するポイントなどについて、詳しく紹介するのでぜひ参考にしてみてください。

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目次

PoC契約書ってなに?

「PoC契約書」とは、自社の事業アイデアの実現可能性をはかるために行うPoCにおいて交わす契約書のことです。PoC契約書は、特許庁が作成したモデル契約書に含まれています。オープンイノベーションを加速するためにも重要な契約と言えるPoC契約ですが、さらに詳しく確認してみましょう。

PoCとは技術検証のこと

PoC(Proof of Concept)について、経済産業省は「技術検証」と訳しているのですが、現場では「実証実験」という意味で使われることもあります。PoC契約は本開発をするか決定する前に、スタートアップの技術力や開発能力などを検証するために結ぶ契約です。

PoC契約で言うスタートアップとは

急成長をしている組織のことを「スタートアップ」と呼びます。「ベンチャー」と混同されることが多いのですが、Google、SmartNewsなどが該当し、急成長だけではなく革新性があることもスタートアップの大切な条件です。この2つの点がベンチャーと大きく異なります。また「ベンチャー」は和製英語ですが、「スタートアップ」はアメリカで使われ始めた言葉です。

PoC契約は老舗の中小企業も対象

PoC契約はスタートアップだけを対象にしているわけではありません。特許庁が公開している「PoC契約書ver2.0(AI編)」を参照すると、スタートアップをメインに考えていることが分かります。しかし、スタートアップ以外の中小企業と共同開発をする前にもPoC契約書を交わすことがこれから増えると予測されるのです。

PoC契約が必要になった背景

中小企業の負担を減らすためにPoC契約が作られました。以前は大企業が中小企業と共同開発をする場合、NDA(秘密保持契約)を結ぶとそのまま提携協議に進むことが一般的でした。その際、中小企業が求める技術力や開発力があるかを確かめるため、事前検証をしていたのです。しかし、中小企業側が無償で行なう場合が多く、そのためPoC契約書を交わし賃金を支払うようになりました。

PoC契約書を交わすのは、大企業が技術を提供してもらう中小企業の実力を見極めるためです。また、経産省ではスタートアップをPoC契約の主な対象と想定していますが、他の中小企業ともPoC契約書を交わすことが増えると予測されます。

出典:特許庁『PoC契約書ver2.0(AI編)』

https://www.jpo.go.jp/support/general/open-innovation-portal/document/index/ai-v2-poc_chikujouari.pdf

PoC契約書はモデル契約書に含まれる

PoC契約書は、特許庁が作成した「モデル契約書」の中に含まれます。モデル契約書は、スタートアップを不当な扱いから守り、オープンイノベーションを促進することを目的として特許庁が作成したものです。公正取引委員会が「製造業者のノウハウ・知的財産権を対象とした優越的地位の濫用行為等に関する実態調査報告書」を2019年6月に公表し、この結果が重要視されモデル契約書の作成に至ったのです。

出典:公正取引委員会「製造業者のノウハウ・知的財産権を対象とした優越的地位の濫用行為等に関する実態調査報告書」(https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/jun/190614_files/houkokusyo.pdf

オープンイノベーションとは

2003年にハーバード大学経営大学院のヘンリー・チェスブロウ教授によって提言されたのが「オープンイノベーション」です。製品開発・研究発表・技術革新などを自社に限らず、他社や機関などの能力や技術を借りて市場機会を増やすことを目的としています。

PoC契約書を交わすタイミング

オープンイノベーションのプロセスで、PoC契約はNDAの後、全体の2番目に交わします。モデル契約書ではオープンイノベーションのプロセスを4つに分けているので、そちらもチェックしておきましょう。

  1. NDA(秘密保持契約)
  2. PoC(技術検証)契約
  3. 共同研究開発契約
  4. ライセンス契約

 上記の流れでNDAを結んだ後にPoC契約書を交わし、契約先の組織のレベルや事業の実現可能性を見極めた上で、やっと共同研究開発契約を結べるというイメージです。

PoCとは技術検証のことで、共同開発を自社以外の組織とやる際にはとても重要な契約になります。相手の技術力や開発力などをしっかりと検証し円滑に開発を進めるためにも、PoC契約書の内容を十分に吟味しておきましょう。

PoCの契約書作成で気をつけるべき4つのポイント

PoC契約書を作成する際には、以下の4つのポイントがあります。

  • PoCの目的を理解する
  • 検証の期間をハッキリ決めておく
  • 知的財産権の所在を明示する
  • 対価についても定めておく

どうして上記4つのポイントが重要なのか、その理由を紹介します。

ポイント1)PoCの目的を理解する

PoCは共同研究開発をする前に提携先の実力を検証するために行うものです。本番はPoCの後に始まる共同研究開発なので、この段階で予算と時間を使いすぎないように注意しましょう。

ポイント2)検証の期間をハッキリと決めておく

時間を無駄に費やさないためにも綿密なスケジュールを立て、検証期間を明確にしておくことは重要です。PoC契約書に検証期間を明示しておかないと、不用意に時間をかけてしまう恐れがあります。

どのような検証方法を採用するか確認する

あらかじめ必要な検証方法を絞っておくことで時間の短縮につながります。目的の共同研究開発から逆算で検証方法に何が良いかを判断しておきましょう。

回答期限を具体的に決めておく

検証結果を見て共同研究開発契約をするかどうかの返答期限も具体的に決めておきましょう。検証期間だけでなく返答期間も決めておくことで、契約相手に公平感を印象づけることになります。

検証期間を決めることで作業にも緊張感とメリハリが生まれます。しかし、早く終えれば良いというものでもないので、PoC契約書に必要な検証が抜けないよう、前もって十分に内容を精査することが大切です。

ポイント3)知的財産権の所在を明示する

共同開発をするどの組織が知的財産権を保有するのか、PoC契約書に明示しておくことも重要です。中小企業などが以前から保有している技術などの知的財産権は基本的に譲渡されることはありません。しかし、技術検証の際に出来た技術などについては、どの組織に帰属するのか明確にPoC契約書に記載しておきましょう。

ポイント4)対価についても定めておく

労働に対する報酬や材料費だけではなく、知的財産権なども考慮に入れた対価を定めておく必要があります。労働に対する報酬と材料費については、契約者双方が対立することが少ないかもしれませんが、知的財産権の所在については明記しておかないと後々トラブルになる可能性があるので慎重に考えておきましょう。

以上4つのポイントをしっかり踏まえてPoC契約書を作成してみてください。PoC契約書を明快にしておくことで後々のトラブル回避につながります。

プロジェクトを失敗させないためにPoC契約書は重要

共同研究開発をする相手の技術力を検証したり、自社の事業の実現可能性を検証するための手法がPoCです。そしてPoCの内容を定めているのがPoC契約書です。PoCはあくまで検証なので予算や時間をかけすぎることはできません。だからこそ、契約内容は無駄を出さずにトラブルを回避できるよう、慎重に考慮することが重要なのです。

また、PoCのプロジェクトをどのように実施すればいいかわからない。予算のとり方、プロジェクトマネジメントのやり方がわからないなどのお悩みをお持ちでしたらぜひ当社までご相談ください。

システム開発を失敗しないために、弊社が相見積もりの取得までをサポートさせていただくことも可能です。むやみな営業電話などは決して行いませんので、まずは無料のご相談をお待ちしております。

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この記事を書いた人

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過去に培った支援実績(プロジェクトケース)・開発ノウハウをもとに、PoC(概念実証)に関連する最新情報や基礎知識を解説しています。PoCの計画から実証までコンサルティングでのご支援も可能ですので、気になることがありましたらお気軽にお問合せください。

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