PoCの評価指標を技術・ビジネスの両面から解説

PoC(Proof of Concept、概念実証)とは、新しいアイデアの実現可能性や課題を解決する効果について検証する取り組みです。

PoCを進める上では、PoCで得られた検証結果を次の開発ステップにつなげることが重要であり、そのためにはPoCの成果とその評価指標を関係者で共有しておくことが必要です。

本記事では、PoCを実行して得られる評価指標について解説します。

また、PoCを実施する上で理解しておくべき基礎知識については、下記の記事で詳しくまとめております。「PoCについてより詳しく知りたい」「PoCという言葉は知っているけど詳細までは分からない」という方は、まずこちらの記事をご覧ください。

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目次

技術面の評価指標

PoCでは、新しいアイデアをプロダクトとして成立させられるかどうかを確認する必要があり、これを技術面の評価と呼びます。

技術面の評価指標としては、生産性、信頼性、ユーザビリティなどがあります。

生産性

生産性は、システムにおけるインプットとアウトプットの比率のことです。インプットは経営資源(ヒト、モノ、カネ)、アウトプットは成果(売上、販売数量など)とすることが多いです。

例えば、これまで手作業で10時間かかっていた紙の帳票管理作業を、システム化して1時間でできるようになった場合、生産性は10倍になります。

業務の効率化を目的としたDXプロジェクトなどでは、より少ない経営資源で大きな成果を生み出すことが目的なので、生産性が重要な指標となります。

信頼性

信頼性は、システムにおいてエラーや故障の発生のしづらさを示す指標です。システムが安定的に稼働していて、使えなくなる時間が短いほど信頼性が高くなります。

例えば、あるシステムを構成する機械が故障するまでの寿命が10年だと把握できている場合、1年ごとに定期的な点検を行ったり、点検で劣化の兆候を見逃さずに対応するなどにより信頼性を高められます。

PoCではプロダクトを成立させる必要最小限の機能に絞ったプロトタイプを製作し、ユーザーが業務を行う環境で使用してもらって評価を行います。

このとき、ユーザー環境で致命的なエラーが発生しないか、さらに、エラーや故障を回避する仕組みを組み込んでいるかを確認します。

ユーザビリティ

ユーザビリティは、プロダクトがどのくらい使いやすいか、または使いにくいかを示します。新しいアイデアが技術的にプロダクトに組み込めて、理論上はこれまでより効率的に作業ができるとわかれば、製品化は可能です。

しかし、操作が複雑でユーザーが使いこなせるまでに時間がかかったり、エラーが起きたときの修復方法がわからないなど、使い勝手が悪いとユーザビリティが良いとは言えません。

例えば、新しいプロダクトを用いたタスク処理の習熟に2時間かかるところを、ユーザーインタフェースの改善やチュートリアルの充実により1時間に短縮するなどにより、ユーザビリティを改善できます。

ユーザビリティの優れたプロダクトは幅広いユーザーに使用してもらえるため、ビジネスを拡大するために重要な指標となります。

ビジネス面の評価指標

PoCでは技術面の評価以外にも、プロダクト開発を進めた場合にビジネスとして成り立つかどうかも評価する必要があります。

もし、新しいアイデアをプロダクトに盛り込むことが技術的に実現可能であり、生産性の向上が見込めたとしても、「開発に莫大なコストが掛かる」「開発期間が非常に長期に及ぶ」という場合、プロダクト開発を継続することは難しくなります。

このように、プロダクト開発を進めた場合にビジネスとして成立するかどうかの評価を、ビジネス面の評価と呼びます。ビジネス面の評価指標としては、費用対効果、投資収益率 (ROI)などがあります。

費用対効果

費用対効果は、何らかの施策に投入した費用(インプット)に対してどの程度の効果(アウトプット)が得られたかを示します。一般的には得られた利益から投資金額を引き算して算出します。

例えば、あるプロダクトを開発するために必要な費用が100万円だった場合に、そのプロダクトによって300万円の利益が得られれば、費用対効果は200万円となります。

プロダクト開発および運用に必要な費用としては、開発コスト(材料費、人件費)、流通コストなどがあります。プロダクト開発により見込まれる効果としては、コスト削減効果(人件費)、売上額の増加、利益率の向上などがあります。

投資収益率

投資収益率は、何らかの施策への投資に対してどの程度の収益が得られたかを比率で示し、ROIとも呼ばれます。

費用対効果と似た指標ですが、費用対効果がプロダクト開発に要する一時的・短期的な費用と効果を対象としているのに対して、投資収益率ではプロダクト開発後の中長期的に発生する収益を対象とします。

例えば、プロダクト開発費用に200万円かかって毎年100万円の利益が得られる場合、最初の年には費用対効果がマイナスになるとしても、3年間追加コストなしで運用できれば利益額は600万円となり、投資収益率は600万円÷200万円で3倍と算出することができます。

プロダクト開発によって一時的に収益が減ったとしても、将来より大きな収益が見込める場合には、開発を進めるという判断もできます。

まとめ

PoCは新しいアイデアを検証し、プロダクト開発を進めるために必要なプロセスです。しかし、PoCを実施して得られた結果を正しく評価できないと、プロダクト開発を進めてもよいか判断ができません。

本記事で解説した内容を参考にPoCの評価指標を理解し、プロダクト開発を成功に導いてください。

また、PoCを正しく評価するには、PoCプロジェクトの中で確実に評価指標を得るためのスケジュールを立てておく必要があります。

PoCプロジェクトのスケジュールの立て方について、具体的な内容をまとめた記事が「第4回 / 施策をもとに暫定スケジュールを立てよう」です。詳細を知りたい方はぜひご覧になってみてください。

「まずはPoCついてざっくりと理解したい」という方には、当社で作成した「DXデジタルトランスフォーメーションを成功させるためのPoC(概念実証)進め方と実践の手引き」の資料がおすすめです。下記のリンクからダウンロードしてみてください。

https://funrepeat.com/poc-introduction/document_request/

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この記事を書いた人

PoC入門.comは、株式会社ファンリピートが運営するメディアサイトです。
過去に培った支援実績(プロジェクトケース)・開発ノウハウをもとに、PoC(概念実証)に関連する最新情報や基礎知識を解説しています。PoCの計画から実証までコンサルティングでのご支援も可能ですので、気になることがありましたらお気軽にお問合せください。

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