PoC(Proof of Concept、概念実証)とは、新しいアイデアの実現可能性や課題を解決する効果について検証する取り組みです。PoCを進める上では、PoCの完了時に得られた検証結果を確認して、次の開発ステップにつなげることが重要です。
本記事では、PoCを実施することで得られる成果物について解説します。
また、PoCを実施する上で理解しておくべき基礎知識については、下記の記事で詳しくまとめております。「PoCについてより詳しく知りたい」「PoCという言葉は知っているけど詳細までは分からない」という方は、まずこちらの記事をご覧ください。
プロダクトの要件定義書
一般にシステム開発を行う際、システムの開発プロセスで実施する業務内容を文書化した「要件定義書」を作成します。
要件定義書はシステム開発において開発の手順書と言えるものであり、実装する機能の詳細な動作や、ユーザーの操作によって生じるエラーを想定して作成します。
要件定義の内容は大きく分けて機能要件(あるべき姿を実現するために必要な機能)と非機能要件(拡張性、セキュリティ、保守性など運用上必要な機能)があり、PoCでは主に機能要件を検証するためのプロトタイプを制作して検証を行います。
このプロトタイプの時点では、実現したい機能をすべて盛り込むのではなく、必要最小限の機能のみで検証を実施し、重要な機能の実現性や有効性を検証します。
PoCのサイクルを複数回繰り返す過程で、プロダクトに盛り込む機能要件が明確になり、その過程で非機能要件も具体的になっていくため、結果として実現性・確実性の高い要件定義書を成果物として作ることが可能となります。
プロダクト開発の投資対効果
PoCを実施すると、経営者や決済者がそのプロダクト開発を継続すべきかどうかの判断材料を得られます。一般にPoCというと、新しいアイデアの実現性や有効性を検証するための取り組みであり、技術面での検証に主眼が置かれます。
しかし、実際のPoCプロジェクトでは技術的な実現性だけではなく
「実装しなければならない機能は何か」
「不要な機能は何か」
「プロダクトに対するユーザーの受容性はあるか」
なども検証するため、プロダクトを開発した場合の投資対効果を見通すことができます。
したがって、PoCを実施すれば、比較的小さな投資でプロダクト開発のビジネス面での成果も予測することが可能となり、プロダクト開発を進めてよいかどうかの判断材料が手に入るのです。
これまでに実施したPoCの成功・失敗事例
これはオマケというか副産物として手に入る成果物ですが、PoCのリアルな実施事例が得られます。PoCは担当するプロジェクトマネージャおよび関係者の経験や理解度によって、成功と失敗が分かれる性質があります。
特に経験が浅いうちは、準備が不十分な状態でPoCを開始して迷走したり、数をこなすことが目的になって十分な検証ができないために、PoCプロジェクトが失敗に終わることもあります。
PoCを実施した事例が組織に蓄積されることで、失敗パターンに陥ることを避けられますし、PoCの実施する際の道筋が明確になるため、より効率的にPoCを実行することができるようになります。
仮にPoCが失敗に終わったとしても、その経験を無かったことにするのではなく、組織で共有して同じ失敗を繰り返さないように学習していきましょう。
また、PoCが失敗する理由について、パターン別にまとめた記事が下記となります。「初めてのプロジェクトを絶対に失敗させたくない」という方はぜひご覧になってください。
まとめ
PoCは新しいアイデアを検証し、プロダクト開発を進めるために必要なプロセスです。その過程で得られる有形無形の成果物は、いずれもプロダクト開発において重要な資産と言えます。
本記事で解説した内容を参考にして、プロダクト開発を成功に導いてください。
また、PoCの成果についてどのように評価を行うべきかについて解説した記事が「PoCの評価指標を技術・ビジネスの両面から解説」です。詳細を知りたい方はぜひご覧になってみてください。
「まずはPoCついてざっくりと理解したい」という方には、当社で作成した「DXデジタルトランスフォーメーションを成功させるためのPoC(概念実証)進め方と実践の手引き」の資料がおすすめです。下記のリンクからダウンロードしてみてください。