システム開発を委託する際の注意点は?契約形態や注意点を紹介

システム開発を委託したいけど何に注意すべきか分からない、そのようなお困りごとはありませんか。

受託側との認識の違いがあると、トラブルが発生するおそれがあります。そこで今回は、システム開発を委託するための2つの契約方法と、委託契約を結ぶ際の7つの注意点を紹介するので、参考にしてみてください。

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システム開発を委託するための2つの契約方法

システム開発を委託する場合、「請負契約」と「準委任契約」の2つの契約方法があります。それぞれ契約に特徴があり、成果物の納品を目的とするのか、業務を遂行すること自体を目的とするのかで、どちらの契約が向いているかが変わります。

また、経済産業省と情報処理推進機構のモデル契約書では、業務の工程により請負契約と準委任契約のどちらで契約するかを定義しているので、そちらも合わせて確認していきましょう。

出典:情報処理推進機構「「情報システム・モデル取引・契約書」第二版を公開」(https://www.ipa.go.jp/ikc/reports/20201222.html)

契約方法1)請負契約とは

依頼した仕事の成果物に対して報酬を約束するのが「請負契約」です。請負契約は民法の632条によると、委託側(ユーザー)と受託側(ベンダー)が特定の仕事を完成することを約束して、委託側が仕事の成果に対して受託側に報酬を支払うことと定義されています。

受託側は、成果物に問題が生じると契約不適合責任を負うことになります。また、請負契約は依頼された仕事の完成を目的としているため、契約をする段階で受託側が開発すべき内容が明確になっていなかったり、達成できるかどうかが受託側の努力や技術力以外の要素に大きく左右されたりする場合には不向きです。

契約方法2)準委任契約とは

特定の仕事の完成ではなく、業務を遂行すること自体を目的として結ぶ契約が「準委任契約」です。準委任契約は民法の656条によると、法律行為を除いた事務処理を委託する契約と定義されています。

つまり請負契約とは異なり、準委任契約では仕事の内容や成果物に対して完成の義務がありません。そのため、結果や成果物に不備があったとしても契約不適合責任は発生せず、修正や保証を求められることもありません。

出典:e-GOV法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)

請負契約と準委任契約の使い分け

工程ごとに、請負契約と準委任契約は使い分けが可能です。経済産業省と情報処理推進機構の「モデル取引・契約書」では以下のように各工程で契約方法を分類しています。

工程請負契約    準委任契約
シシステム化の方向性・ステム化計画・要件定義
システム外部設計
システム内部設計・ソフトウェア設計・プログラミング
システムテスト
受入・導入支援
運用・保守

請負契約と準委任契約どちらを用いても差しさわりのない工程もありますが、業務内容から契約形態に向き不向きがある工程もあるので、契約の際に注意が必要です。

また、請負契約は再委託に対して民法上の制限がないのですが、準委任契約は民法644条の2第1項おいて委託側の許可を得た場合とやむを得ない理由がある場合以外は禁止されています。

出典:情報処理推進機構「情報システム・モデル取引・契約書」第二版を公開」(https://www.ipa.go.jp/ikc/reports/20201222.html)

※上記サイトからダウンロードできる「<第二版>(Word:3.4MB)」に記載。

システム開発を委託する際の注意点

システム開発の委託では委託側と受託側の認識を一致させておくことが重要です。システム開発は、建物の建築や商品の製造とは違い、物質としての成果物が存在しないため、委託側と受託側の成果物に対する認識にずれが生じやすくなります。

認識のずれを生じさせないためにも契約の段階で注意すべきことがあります。ここでは、特に重要な7つの注意点を紹介します。

注意点1)納品する対象を明確にしておく

システムに実装したい機能を出来る限り詳細に契約書に明示することが必要です。また、システム開発では各種書類(ドキュメント)も納品を求められる事が多いので、どんなものが必要かチェックしておきましょう。

注意点2)委託料の支払い時期を定める

請負契約で委託をする場合、報酬の支払時期を定めておくと受託側の負担を減らすことができます。請負契約の報酬は成果物を納品後に一括で支払われるのが一般的です。しかし、システム開発は長期になるケースも多いため、安心して開発をできるように、工程や段階ごとに報酬を出すなど支払い時期を工夫することで、受託側と良好な関係を築きやすくなります。

注意点3)著作権と知的財産権の所属を明確にしておく

後々のトラブル回避のためにも著作権と知的財産権の所属を明確にしておくことが重要です。特に取り決めが無ければ、著作権は原則として創作者に帰属するため、契約時に明文化しておくことで、後々のトラブルを起こさないようにできます。

注意点4)不具合があった場合の対応について明示する

請負契約をするなら「契約不適合責任」が発生するため、不具合が起きた場合は委託先に直してもらうことが可能です。契約不適合責任を負う期限を定めておくのが一般的で、多くは6〜12ヶ月です。

契約不適合責任により、受託側は1年以内に契約内容と異なる事実を委託側が確認した場合、無償での修理や報酬の減額を求められる可能性があります。一方、準委任契約では契約不適合責任が発生しないので、契約時にどうするか取り決めをしておくことが必要です。

注意点5)プロジェクトの変更可能な範囲と時期を決めておく

システム開発では仕事を進めるうちに、委託側の要望が変わる、何度も仕様が変更されるといったことが珍しくありません。そのため完成までの時間が非常に延びてしまうこともあります。そういった事態を回避するために、変更可能な範囲と時期を明確にしておきましょう。

注意点6)成果物の納品期限・精査期間などを明確にしておく

委託側と受託側の認識の認識がズレないように、成果物の納品時期・精査期間などを明確にしておきましょう。納品期限が決められていないと、想定よりもスケジュールが遅れてしまう恐れがあります。また、委託側が精査期間も明確にしておくことで、受託側を安心させることが可能です。

注意点7)損害賠償の上限を定める

システム開発では、開発委託料と同額を損害賠償の上限額として定める場合が多いです。受託者側にとって損害賠償の上限額はなるべく低くしたいところですが、委託側からするとシステムが完成しない場合のリスクも踏まえて上限額を判断する必要があります。

システム開発は委託側と受託側の合意に基づいて進められます。契約に曖昧な点が多いとそれが原因でトラブルになる恐れが高くなるので、上記の注意点を踏まえて明確な契約を心がけてください。

システム開発を委託するなら契約内容を明確にしましょう

システム開発を委託する契約形態や注意点について紹介してきました。請負契約と準委任契約、どちらが良いかは開発するWebシステムや状況により判断が分かれるので、上記の注意点を参考にベストな契約方法を選択しましょう。

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この記事を書いた人

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